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プレミアで残留争い…自信を取り戻した新生・昌平は“ベスト8の壁”を越えられるのか。苦しみ抜いたタレント軍団の波瀾万丈な一年【高校選手権】

カテゴリ:高校・ユース・その他

河野 正

2025年12月15日

昨季までの昌平を考えると、攻守ともに納得のいかない数字だろう

湘南内定のMF山口(右)も攻撃サッカーを牽引する好タレント。苦難のシーズンを送った昌平は最後の最後で栄冠を掴むか。写真:河野正

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 高円宮杯プレミアリーグEASTは12月14日、関東各地で最終節の6試合が行なわれ、芦田徹新監督が就任した昌平高校(埼玉)は川崎フロンターレU-18に1-2で敗れ、通算7勝4分け11敗の10位でシーズンを終えた。10位は2023年の昇格以来もっとも低い順位で、1年目と2年目はともに7位だった。

 前節、10位の昌平が柏レイソルU-18に快勝し、11位浦和レッズユースが川崎フロンターレU-18に敗れ、勝点差が6に広がったため、昌平の残留と浦和の降格が決まっていた。

 リーグ前半戦は4バックを採用した昌平だが、後半戦から3バックとの併用で臨み川崎戦は3-4-2-1の陣形を敷いた。186センチのCB伊藤隆寛主将(3年)によると、「守るスペースは広いのですが、守備意識は4バックの時よりずっと高くなりました」という感想だ。

 川崎は前節までリーグ最多の45点を記録していたが、昌平は1対1での厳しい守備とそつのないカバーリングで対抗。前半に6本のシュートを打たれたとはいえ、決定打は開始10分の一度だけだった。後半に入ると、ボランチ人見大地(2年)や左ウイングバック森井智也(3年)らが敵陣深くまで進出。強烈なシュートを放つなど、前半に比べて攻撃も活発になった。ところが終盤を迎えた途端に27、29分に続けてピンチを招き33分にPKを与えて失点。4分後に1年生のエースFW立野京弥が同点シュートを決めたが、45分に右CKの混戦からU-17ワールドカップ日本代表CB藤田明日翔(2年)に決勝点を奪われ、11敗目を喫した。

 29得点は12チームの中で3番目に少なく、無得点が6試合あった。1試合最多は3得点で3度記録したが、うち2試合は4失点して敗れている。40失点はワースト4位だ。東京ヴェルディ戦での5失点が最多で、4点を奪われたのが3試合。昨季までの昌平を考えると、攻守ともに納得のいかない数字だろう。

 軽やかだったり、スピード豊かだったり、いろんなドリブルを身に付けた選手が多く、これに壁パスや精度の高いチェンジサイドのパスを組み合わせて敵の守備網を切り裂く。昌平の攻めは高校生年代では最高水準にある。だが今季のリーグではそんな強みを発揮できなかった。
 
 下位に低迷した最大の要因は大量失点と合わせ、奔放な攻めを展開できなかったからだろうか? 芦田監督は「どう表現したらいいのか難しいですね」と同じ言葉を二度発し、首をかしげながら言葉を選んでこう答えた。

「正直、(今年の)客観的な自分たちの力はここ(下位)だったと思います。サッカー人から見たら、残留争いには当然絡んでしまうレベル。何かがおかしくなってこんな結果を招いたとは考えていません。今はむしろ、選手がいろんな経験をする中でたくましく成長できたからこそ、残留できたという思いのほうが強いですね。(リーグ戦)スタート時であったら、残留できなかったのではないか。経験して強くなれたのは、来季につながると思います」

 具体的な原因については言及を避けたが、高校生年代最高峰のリーグを戦う難しさを体感したようで、「気を休める試合は一度もなく、一年があっという間だった。思ったように勝点を拾えなかったが、勝っても負けても、選手も私も成長できるリーグでした」と総括した。
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