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黒田剛の脳裏に焼き付く苦い記憶「本当に悔しい思いをしました」。国立ファイナルで勝つために――名伯楽はかつて助言『立ち上がりは気をつけろ』【天皇杯決勝】

カテゴリ:Jリーグ

元川悦子

2025年11月23日

キャプテン昌子もしみじみ「本当に凄い」

就任3年目で快挙。天皇杯を制し、町田に初タイトルをもたらした黒田監督。(C)SOCCER DIGEST

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[天皇杯決勝]町田 3-1 神戸/11月22日/国立競技場

 11月22日に国立競技場で行なわれた天皇杯の決勝戦。前回王者のヴィッセル神戸を相手に、パリ五輪世代のエースFW藤尾翔太の2発と、日本代表の森保一監督が「Jリーグで別格」と認める相馬勇紀の一発で3-1と勝ち切り、クラブ初タイトルを獲得したのが、FC町田ゼルビアだった。

 IT大手のサイバーエージェントが2018年10月に経営参画してから急成長した町田。やはり大きな転機となったのは、青森山田で高校サッカー選手権を3度制している名将・黒田剛監督の招聘である。

“異例の転身”を遂げた50代の指揮官は、2023年からプロの世界に飛び込むと、いきなりJ1初昇格に導く。2年目の24年はJ1でチームは優勝争いを演じ、チャンピオンズリーグエリート出場権を、そして今季に初タイトルをもたらした。

 もちろん豊富な資金力で昌子源、相馬、中山雄太、谷晃生、望月ヘンリー海輝といったタレントを集められたのも大きかったが、細部に徹底的にこだわる“勝負師”の存在がなければ、天皇杯制覇には手が届かなかっただろう。

「高校サッカーとプロという区切りをしちゃえば『何言ってるんだ』と思うかもしれないけど、一発勝負で無類の強さを発揮している以上、疑うことはない。勝負事の世界でこれだけ決勝戦を戦っている人はなかなかいないし、本当に凄い」とキャプテンの昌子もしみじみ語っていた。ワールドカップや海外で戦ってきたタレントたちを納得させてしまう説得力というのは、やはり特筆すべき点だろう。
 
 高校サッカー時代にしのぎを削った大津高校の平岡和徳テクニカルアドバイザーも「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)において、黒田監督としての安定感と成熟度の高さを感じた。持ち前の勝利への執着心と相手を見抜く探究心、愛情を持って選手を信じる強い姿勢が、タイトルの原動力になった。それは間違いないと思います」と改めて賛辞を送っていた。

 その黒田監督が天皇杯ファイナルを戦うにあたって強調したのが「最初の15分で絶対にゲームが動く」という部分。それは苦い経験から来ているという。

「青森山田時代に初めて選手権決勝まで勝ち上がり、国立でファイナルを戦ったのが、2010年1月の山梨学院戦でした。柴崎岳が2年の時で、開始11分に相手の碓井鉄平にミドルシュート決められて負けたんですが、試合前にロッカールームに来られた(元帝京の)古沼貞雄先生に『相手はなりふり構わず来るよ。本当に15分で決まるよ』と言われたことが頭に浮かんで、本当に悔しい思いをしました。あれから自分はそのことを脳裏に焼き付けて、ここまでやって来たんです」

 86歳になった古沼監督も、15年前の出来事を鮮明に覚えているという。

「当時、山梨学院を率いていた横森巧監督(現・山梨学院大学総監督)は韮崎高校時代から先手必勝の人。そのことが頭にあったんで、黒田君に『立ち上がり10分、15分は気をつけろ』と言ったんですが、やられましたね(苦笑)。でも、彼はこの教訓を活かして、そこから選手権で3回優勝した。今回の天皇杯決勝でも開始15分の重要性を強調したと聞いて、嬉しく思います。

 神戸戦もそうですけど、黒田君が決勝を戦う時は、大量失点は絶対にない。選手権でも失点数が0か1だった。そこが大きな強みなんです。指導者を大きく分類すると、守備型と攻撃型がいますけど、黒田君は『守備6・攻撃4』くらいのバランスで、やはり守りを重視している。今の町田も堅守が強みのチーム。その方が勝率が上がると長年の経験からよく分かっているんでしょう」
 
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