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天皇杯制覇の原動力になった相馬勇紀が抱えてきた想い。覚悟の町田移籍から目指し続けた歓喜の瞬間

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年11月23日

決勝でもゴールを挙げる活躍

タイトルへの想いを語り合った中山雄太(写真右)との記念カット。相馬(写真左)はチームを牽引した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[天皇杯決勝]町田 3-1 神戸/11月22日/国立競技場

「良かった!」

 準決勝、決勝ともに試合後に声をかければ満面の笑みがあった。

 相馬勇紀にとっては2024年7月に加入した町田で目指し続けてきたタイトルの獲得だ。

 神戸との決勝戦でも3-4-2-1のシャドーとして攻撃を引っ張り、32分には貴重な追加点をマーク。クラブを初の王者の座へ導いてみせた。

 振り返れば28歳の相馬にとってここ数年は紆余曲折のある歩みだった。25歳でカタール・ワールドカップ出場を果たし、半年後にはポルトガルのカーザ・ピアで欧州挑戦にも乗り出した。

 欧州での冒険は約1年半でひとまずの区切りをつけたが、貴重な経験も積んだ。以前のインタビューでも語っていた。

「まず判断のスピードは早くなった。あと意識が高まったのがボールを失わないところやボールの置きどころ。ポルトガルでは190センチ以上で身体も強い選手と、当たり前に練習をする環境だったので、当たり負けしない、どうやったらボールを隠して取られないのか、というところを考えてきました。だからこそ個人としてのスキルは上がりましたし、特に(日本に)帰ってきた頃は判断が良くなり、かなりフィジカルのレベルは上がったんだなと感じました。1年半で相当選手として成長できたなと思いますね」

 欧州挑戦後はプロ生活を始めた名古屋に復帰したが、葛藤の末に町田への完全移籍を決断した。当時は名古屋で愛される存在であったからこそ賛否の声も飛び交ったが、当時、胸のうちをこう明かしていた。

「まず自分の性格的なところがあり、最初はやっぱり自分の成長のためにも海外でやりたいという想いが正直ありました。ただ新しいチームを探しているなかで、なかなか良い話と巡り合うことができなかった。そこで契約があと半年残っていた名古屋へ復帰させていただくことになりました。

 ただ、誰とどこでなどという考えは置いておいて、やっぱり自分が元々持っている気持ちとしては、常にチャレンジし続けたいという面がありました。環境を変えるタイミングもすごく大事だと考えていて、それが今だとも思っていたんです。

 これは個人的にですが、人間は良くも悪くも環境に慣れちゃうという面があると思っており、同じ環境でずっとコンディション、モチベーションを保つのは僕の性格上、難しいとも考えていました。それこそ(大卒で入団した)名古屋には感謝しかありません。でも、ここで新たな環境に進むべき、刺激的な場所で挑戦をしたいという想いが芽生えていたんです。

 そこでゼルビアの原(靖)フットボールダイレクターからお話をいただき、前向きに考えさせていただきました。そこは藤田(晋)社長を含めたゼルビアという組織が、今後の5年でやりたいことのイメージを最初に教えてもらい、一緒に挑んでみたいという気持ちになったんです。一緒に目標を成し遂げたいなと、その挑戦にすごくワクワクしたんです。

 また、それこそ名古屋とは半年契約が残っていたなかで、移籍金を払ってもらい、名古屋に移籍金を残すことで、恩返しもできるんじゃないかと考えていました。さらに移籍金を払ってでも獲得してくれたゼルビアのために戦いたかった。その感謝の意味でも、クラブとして次のステージへ向かうためにも、タイトルを絶対に掴みたいという想いがありました」
 だからこそ、町田では決意の表われとして結果を目指し続けてきた。

 決勝戦のキックオフ直前、センターサークルでボールを持ち、願いを込めるようにじっと試合開始を待つ相馬の姿があった。

 その想いが結実した瞬間の喜びはひとしおだっただろう。

 ブラジルに歴史的な勝利を挙げた先日の代表戦にも途中出場。ただ、11月の2試合は天皇杯の戦いを考慮されて選外となった。相馬は以前にこうも語っていた。

「元々は29歳で出られる(2026年の)ワールドカップを目指そうと考えていたのですが、25歳のタイミング(2022年カタール・ワールドカップ)にも出場できました。その分、良い経験を積んだ状態で挑めます。

 そしてワールドカップは大会直前のコンディショも大切だとも感じました。身体の状態が良いとメンタル的にも安定し、そういった選手こそ活躍できるはずです。だからこそ焦らず、僕は結果を出し続ける。虎視眈々という感じですね。一歩ずつで積み重ねていく。僕はエリート街道を進んできたわけではないので、下から掴んでいく。そうやって進んでいきたいです」

 日本代表でのレギュラー争いは熾烈である。それでもこれまでの経験をすべて背負って今度は2度目の世界舞台に立つ姿にも期待したい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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