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ルヴァン準決勝敗退でピッチに倒れ込んだ川崎のふたりのルーキーCB。10人での逃げ切り失敗に悔いも、大事なのは“経験の継承”だ

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年10月13日

数的不利な状況で投入されるも

悔しそうな表情を浮かべたルーキーの土屋。リードを守ることはできなかった。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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[ルヴァンカップ・準決勝・第2戦]柏 4-1 川崎(トータルスコア:柏 5-4 川崎)/10月12日/三協フロンテア柏スタジアム

 ホームでのルヴァンカップ準決勝・第1戦を3-1で制していた川崎は、アウェーでの第2戦、開始4分に先制点を奪うなど最高の立ち上がりを見せていた。

 しかし、前半のうちに1-1に追いつかれると、56分にはCBフィリップ・ウレモヴィッチが裏に抜け出されそうになった柏FW細谷真大を倒して一発退場。

 10人での戦いを余儀なくされた川崎の長谷部茂利監督が選択したのは、攻撃のキーマンである伊藤達哉、マルシーニョを下げ、大卒ルーキーの神橋良汰、昇格1年目の土屋櫂大というふたりのCBを投入しての5-3-1へのシフトであった。

「決して守り一辺倒にならないように、という気持ちはありました」と指揮官は振り返ったが、数的不利な状況では、やはり攻め込まれる時間が続く。

 そして73分に仲間隼斗、77分に細谷に決められてトータルスコアで同点に追いつかれた川崎は、後半アディショナルタイムに再び細谷に決められて力尽きた。

 

試合後ピッチを叩きつけた土屋。印象的な姿だった。(C)SOCCER DIGEST

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土屋とともに投入された大卒の神橋。同じく敗戦を悔やんだ。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 試合終了の笛とともに、ピッチを手で叩いて悔しがったのはアカデミーから今季昇格した19歳の土屋櫂大だ。土屋はデビュー戦となった4月のリーグ5節・横浜戦でもトラブルを抱えたCBセサル・アイダル(夏に移籍)に代わって87分にピッチに送り出されたが、チームはその後、2失点し、3-3のドローを演じ、涙を浮かべる一戦となっていた。

 その悔しき経験を力に変えてきたが、今回の柏戦後にも土屋は自らを責めた。

「ああいう状況で途中出場したなかで、自分のタスクはもう守り切ること、あれ以上失点させないこと、言い方が合っているか分からないですが、自分が出て1失点したあと、2失点目は絶対に許しちゃいけなかった。自分が入って自分のタスクが明確だったなかで、そのタスクをこなせなかった。今日勝てなかったことがすごく悔しいですし、今日勝つことが、自分が出て今日勝つことで自分の評価を上げることができたと思っていますし、勝てなかった以上、自分はもっと成長しなければいけないです。

 前の4月のマリノスとのデビュー戦からまったく変わっていないと思いましたし、この半年間、自分のなかでやってきたつもりでしたが、詰めが甘かったかなと思います。ひとり少なくなったなかで後ろを5枚にして枚数は揃っていましたし、前の枚数が少なかったなかで相手の2次、3次攻撃につながってしまっていたので、ひとり少ないのでしょうがない部分もありますが、ゴール前にあれだけの人数がいるなかで失点を許してはいけないと思います。守り切れなかったのが本当に悔しいです。

 最近はベンチが続いていて、100パーセント以上の準備を怠ったことはないですし、試合に必ず出る意気込みで取り組んでいたので、出るチャンスがあると考えていました。でも半年経っても同じことを繰り返してしまったことに悔いがありましたし、チームを勝たせられる選手ではまだないと痛感しました。自分に対しての悔しさがあります」

 同じくアカデミーの出身で早稲田大を経て今季川崎に戻ってきた23歳の神橋も悔しそうにピッチに倒れ込んだ姿も印象的だった。

 一方で最終ラインの中央で彼らに声をかけ続けた25歳の佐々木旭は語った。

「(ふたりが入ってきた際には)勝っていたので、慌てずにやろうと話していました。カイトもカミもすごく声を出して頑張ってくれていました。自分がもっとやらなくちゃいけなかったと思います」

 在籍16年目でベンチから仲間を鼓舞し続けたGK安藤駿介も若い芽を慮った。

「こういうゲームに若いふたりのルーキーが出て、あまりそういうふたりには責任を感じてほしくないです。下ばっかり向いていても何も落ちていないはずですし、長い目で見たら途中から出たそのふたりのCBが今後チームを背負っていってくれれば、クラブのプラスになると思います」

 ショッキングな逆転負けからすぐに切り替えるのは難しいだろう。だが、ポジティブに考えれば今後の川崎を担っていくはずの彼らが痛みとともに貴重な経験を積んだとも言える。

 大事なのはそうした経験をクラブとしてしっかり引き継いでいくことだ。安藤も「(川崎は)前はずっと決勝で負けてきているチームでしたし、長い歴史のなかでもっと悔しい試合もありました」と語る。そこからバトンをつなぎ悔しさをしっかり活かしたからこそ今がある。今度は若いふたりが川崎に成功をもたらした時、この悔しい敗戦に意味があったと言えるに違いない。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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