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ミラーゲームからのミラーずらし。韓国も撃破してE-1連覇の日本。即席チームがクラブチームのような一体感を見せた

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2025年07月16日

望月を右SBとする4-2-4への可変

個のアピールよりもチームの優勝。森保ジャパンは一枚岩となってタイトルを掴んだ。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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 7月15日に行なわれたE-1選手権・第3節の日本対韓国は、1-0で日本が勝利し、3戦全勝で優勝。2022年大会に続いて頂点に立ち、大会連覇を果たした。

 後半は防戦一方に近かったが、やはり引き分け以上で優勝という条件は大きかった。8分にジャーメイン良が先制点を挙げたため、2失点しなければOK。日本としてはリスクを負う必要も、オープンに戦う理由もない。段階的に守備ブロックを下げ、状況に合わせて選手を入れ替えながら、日本は戦う大人のサッカーをした。

 本来、即席チームが見せるような試合ではない。このチームは今後に続くわけではないし、W杯は来年に迫っている。個々がA代表入りを目ざし、アピールしたくて仕方がないはずだ。実際、過去のE-1選手権を思い返すと、2015年、2017年、2019年など、個人のバラバラ感が否めない大会もあった。

 ところが、今大会は選手の野心がチームの優勝に向いており、戦略の統一、戦術の理解度が、即席チームとは思えないレベルに達していた。前回大会のように、クラブ毎に選手をまとめる手法も使わなかったのに。即席チームが、まるでクラブチームのように見えたことに、今大会は最も驚いた。

 たとえば、日本のビルドアップ。韓国はこの大会から4バックを3バックに変更しており、日本と同じ3-4-2-1でミラーゲームとなった。

 勝利が必須である韓国は、3バックを維持してハイラインで守備を挑んできたが、それは想定済みなのか、日本は剥がす準備をしていた。

 一般的に3バックを維持して守る場合、急所になるのは3バックの横の大外スペースだ。日本はここに右シャドーのジャーメインが流れ、反対サイドは相馬勇紀がそのまま上がった。ウイングハーフの立ち位置はアシンメトリーで、相馬が高い位置へ出る一方で、望月ヘンリー海輝は低い位置からスタートした。つまり自陣ビルドアップは、望月を右SBとする4-2-4への可変だ。

 これによって何が起こるか。韓国は前線3枚が日本DFへマンツーマンプレスをかけようとするが、日本は望月を加えた4枚回しになっているので、人がかみ合わない。合わせるためにウイングハーフを前へ押し出すと、幅を取ったジャーメインが浮いてしまう。
 
 これぞ、ミラーゲームからのミラーずらしだ。

 先制点は、それを利用したビルドアップから生まれた。韓国の左ウイングハーフ、3番イ・テソクは、背後を狙うジャーメインを警戒して下がっているが、これでは日本の4枚回しにプレスの人数が合わない。望月が浮いてしまう。どうにか人を合わせようと韓国はMFも高い位置へ出てきたが、その刹那、GK大迫敬介から相手ダブルボランチの背後を取った川辺駿へ、ミドルパスが通った。一気に6枚を置き去りに。

 そこから垣田裕暉のポストプレーを経て、川辺は左サイドの相馬へ展開。見事なクロス、垣田と宮代のランニングが相手DFを釣り出し、最後はジャーメインが決めた。

 この失点以降、韓国はダブルボランチの片方がバイタルエリアに残るように修正したが、ミラーずらしで生じた隙を逃さなかった日本の攻撃は見事だった。

 また、相馬と望月のアシンメトリー配置は、ミラーずらしの件もあるが、望月自身の特徴にも合う。中国戦でも俵積田晃太と望月は、アシンメトリーな立ち位置を取った。望月は高い位置で足もとに受けて仕掛ける、ウイングドリブラーではないので、前方にスペースを確保したほうが裏取りのランニングが生きる。

 ロングボールのターゲットを含め、タイプ的には酒井宏樹に近い選手なので、こうしたSBの香りがする起用法になっているのだろう。
 
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