思えば、試合前にして早くも優勢だったのは、パルメイラスである。
クラブ・ワールドカップのラウンド16。くしくもブラジル対決となった、パルメイラス対ボタフォゴの一戦を前に、パルメイラスはサポーターの数で相手を圧倒していた。スタジアム周辺のあちこちで緑の集団は意気上がる一方、白と黒のそれは、どこか肩身が狭そうだった。
結果的に試合は、キックオフ前の雰囲気そのままに、パルメイラスが勝利。互いにスコアレスで突入した延長前半の100分、パウリーニョが値千金の決勝ゴールを決め、激闘を制した。
「ボタフォゴは、パリ・サンジェルマンのルイス・エンリケ監督も『最も守備が良いチームだ』と言っていたが、今日は本当に簡単な試合ではなかった」
パルメイラスのCBブルーノ・フクスはそう語り、苦しかった試合を振り返りつつも、話題が途中出場のヒーローへと移ると、嬉しそうに口を開いた。
「彼(パウリーニョ)は素晴らしい選手であり、チームのエース。彼とプレーし続けられることをとても嬉しく思う。僕は2シーズン前、アトレティコ(・ミネイロ)でともにプレーし、代表(東京五輪の優勝チーム)でもともにプレーした。だから、彼のポテンシャルは十分に理解している。彼がピッチに立ち、チームを助けてくれたことに感謝し、この勝利を喜びたい」
序盤からロングボールを効果的に使い、セカンドボールを拾っての攻撃につなげたパルメイラスが、押し気味に試合を進めていた。
対してボタフォゴは、グループステージで威力を発揮したカウンター攻撃を思うように繰り出せずにいた。そんな試合展開を考えれば、パルメイラスの勝利は妥当な結果と言ってもいいのだろう。
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延長前半の100分に失点
しかしながら、今大会を通してのボタフォゴの健闘は称えられていい。
グループステージではパリSG、アトレティコ・マドリーと同組になったことで、「多くの人が我々の敗退を予想していた」とボタフォゴのMFアラン。しかし、アランが「今大会から学んだのは、決してあきらめないことだった」と振り返ったように、ヨーロッパ王者のパリSGからしたたかに勝点3を奪い、厳しいグループを突破してみせた。
試合前、数の上では劣勢を強いられていたボタフォゴサポーター。だが、スタジアム脇の一角に集まっていた彼らのもとに、クラブのマスコット、犬の「ビラ(Bira)」がやってくると、たちまち勇気づけられたように盛り上がり、パルメイラスサポーターと肩を並べて入場ゲートへと向かっていく様子が見られた。
「我々は謙虚にここまで来た。相手がパルメイラスであれ、インテル・マイアミであれ、どこであろうと、我々は勝ちたいと思っていた」
そう語るアランは、アメリカまで駆けつけてくれたサポーターたちに感謝の気持ちを込めて、続けた。
「今日はそれができなかったが、我々のファンもここで成し遂げたことを誇りに思っていると思う」
最後は同国対決に敗れ、悔しい思いをしたとはいえ、ボタフォゴが今大会で見せた戦いぶりは、決してサポーターを失望させるものではなかったはずである。
取材・文●浅田真樹(スポーツライター)
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グループステージではパリSG、アトレティコ・マドリーと同組になったことで、「多くの人が我々の敗退を予想していた」とボタフォゴのMFアラン。しかし、アランが「今大会から学んだのは、決してあきらめないことだった」と振り返ったように、ヨーロッパ王者のパリSGからしたたかに勝点3を奪い、厳しいグループを突破してみせた。
試合前、数の上では劣勢を強いられていたボタフォゴサポーター。だが、スタジアム脇の一角に集まっていた彼らのもとに、クラブのマスコット、犬の「ビラ(Bira)」がやってくると、たちまち勇気づけられたように盛り上がり、パルメイラスサポーターと肩を並べて入場ゲートへと向かっていく様子が見られた。
「我々は謙虚にここまで来た。相手がパルメイラスであれ、インテル・マイアミであれ、どこであろうと、我々は勝ちたいと思っていた」
そう語るアランは、アメリカまで駆けつけてくれたサポーターたちに感謝の気持ちを込めて、続けた。
「今日はそれができなかったが、我々のファンもここで成し遂げたことを誇りに思っていると思う」
最後は同国対決に敗れ、悔しい思いをしたとはいえ、ボタフォゴが今大会で見せた戦いぶりは、決してサポーターを失望させるものではなかったはずである。
取材・文●浅田真樹(スポーツライター)
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