クリスタル・パレスに所属する日本代表MF鎌田大地の存在感が増してきた。

　鎌田は、現地５月５日に行なわれたノッティンガム・フォレスト戦で３－４－２－１のセントラルMFとして先発出場。試合は１－１の引き分けに終わったが、パレスは欧州チャンピオンズリーグ出場権を争っている好調ノッティンガム・Fを相手に善戦した。

　そのなかで、鎌田も攻守に奮闘し、守備ではデュエルの場面で力強いディフェンスを見せて相手をブロック。攻撃でも３本のシュートを放ったほか、気の利いたサイドチェンジや攻撃のリズムを変えるスルーパスで好機を作った。

　77分に球際での攻防で警告を受けた影響か、87分に交代を命じられた。その際、ホームのセルハースト・パークに駆けつけたホームサポーターの一部が、スタンディングオベーションでサムライ戦士の奮闘を称賛。鎌田の好プレーが光る一戦となった。

　振り返ると、鎌田はシーズン終盤に入って序列が上がってきた。

　先発した４月23日のアーセナル戦（２－２）ではフル出場し、クラブ選出のMOM（マン・オブ・ザ・マッチ）を受賞した。そして中２日でサッカーの聖地ウェンブリー・スタジアムで行なわれたFAカップ準決勝のアストン・ビラ戦でもスタメン入りした。オリバー・グラスナー監督が「現時点での最強メンバーで戦った」と位置づけた重要な一戦で、３－０の勝利に大きく貢献した。
 

　そして今回のノッティンガム・F戦でも先発。公式戦３試合連続でスターティングイレブンに入り、先発定着を印象付けた。

　ここに来て、パレスの調子も上がってきた。

　ノッティンガム・F戦で目についたのは、チームの躍動感だった。シーズン序盤は長身CFジャン＝フィリップ・マテタにロングボールを放り込む単調なアタックばかりで、黒星先行で降格圏に沈んだ。

　しかし守備の土台をがっちり固めたことで成績は徐々に安定。シーズン中盤から白星を断続的に掴めるようになると、攻撃にも好影響が出た。

　ノッティンガム・F戦では縦に速い攻撃を軸としながらも、チームとしてどのように攻めるかの意思統一がきちんとなされていた。カウンターのチャンスと見ればマテタやエベレチ・エゼに素早く縦パスを入れ、速攻が難しいと判断すれば、鎌田を軸にボールをキープしながら、左右に振って相手の守備の穴を作ろうとした。チームとしてのポゼッションスキルはまだまだ高くはないが、高いインテンシティを維持しながらメリハリの効いたサッカーを展開していた。

　鎌田も自身の役割を全うしていた。

　特筆すべきは攻守のバランス感覚。セントラルMFとして守備に穴を開けないよう正しいエリアにポジションを取りつつ、チャンスと見れば前線まで駆け上がり、味方からラストパスを引き出そうとした。

　何より素晴らしかったのは守備での貢献。球際で力強くタックルを仕掛けたかと思えば、相手ウインガーと対峙するウイングバックのサポートに入るなど、守備の安定に大きく寄与していた。頻繁に首を振って、「自身の立ち位置」と「周囲の状況」を逐一確認する日本代表MFの意識の高さが印象的だった。

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