期待のレフティが自クラブで新たな自分と出会うべく研鑽を積んでいる。

　５月７日に17歳を迎えるRB大宮アルディージャU-18のMF神田泰斗（２年）は、１年生だった昨季から出番を掴んできた。廣山望監督が率いる世代別代表でも主軸として活躍。正確な左足と創造性豊かなパスを武器に、プレーメーカーとしての評価を高めてきた。

　今年は４月にU-17アジアカップを経験し、ワールドカップの出場権獲得に貢献。トップデビューを目ざしつつ、今秋にカタールで開催される本大会に照準を合わせ、さらなる成長を目ざしている。

　しかし、現状では新たな壁にぶつかっている最中。代表からチームに戻ってきて以降は思うようなプレーができず、チームの中心としては物足りないからだ。

　５月４日に行なわれたU-18高円宮杯プリンスリーグ関東１部の第５節・桐蔭学園戦では、ダブルボランチの一角でスタートから出場。しかし、ボールを受ける回数が少なく、相手の手堅い守りを崩し切れなかった。チームも０−１で惜敗。今季初黒星を喫し、試合後には苦味を潰したような表情で悔しさを露わにした。

「ボールを持つ時間を試合の中でなかなか作れず、自分がもっと落ち着きどころにならないといけない。ちょっとあたふたしたし、もっと落ち着かせたかったのにできなかった」（神田）
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　代表では周りから時間とスペースを与えてもらう機会が多く、余裕を持った状態でボールを受けられる。しかし、チームでは一から組み立てに関わるなど、求められる仕事量は多い。丹野友輔監督も神田の課題を口にする。

「代表では周りが時間を作ってくれるけど、ここではアドバンデージがない状態でボールを受けることが多い。そうなった時に何ができるか。代表に行けば、周りが時間を作ってくれるし、正しいタイミングでボールも来るけど、そうじゃない時にどうするか。元々オーガナイズを組んで時間とスペースがあれば彼はプレーができる。そうじゃない時に、いかにしてボールを落ち着かせられるかも必要になる」

　本人も理解しており、ミドルシュートや３列目から飛び出していく点も含め、前向きに問題点と向き合う姿勢を示す。

「できることがあると思う。全然今のままじゃダメだなと痛感している。でも、やるしかない。やることをやって、どう変わっていくかが大事」

　自身の成長を加速させるという意味では、５月25日には天皇杯の１回戦も予定されている。２種登録されている神田にとってはトップチームデビューを飾るチャンスであり、可能性を広げるまたとない機会。出番を得るためにも、まずはU-18チームで自身の問題点と向き合わなければ上のステージも見えてこない。

　理想と現実の狭間でもがく中で、神田はどんな答えを見つけるのか。「11月のワールドカップでチームを勝たせられる選手になりたいし、中心になってプレーしたい」とは神田の言葉。成長の先には明るい未来がきっと待っている。そう信じて、大宮の有望株は新たな自分と出会うために努力を重ねていく。

取材・文●松尾祐希（サッカーライター）

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