川崎フロンターレは悲願のアジア制覇に届かなかった。５月３日に行われたアジア・チャンピオンズリーグエリ―ト（ACLE）の決勝で、サウジアラビアのアル・アハリに０－２で敗れている。

　サウジでの開催だったのに加え、中３日のアル・アハリに対して川崎が中２日など、条件面で不利だったことは否めない。それだけに、米スポーツチャンネル『ESPN』は、「試合に向けて、考えられるほぼすべてのアドバンテージを手にしていた」と報じている。

「準備時間が１日長かったことだけではない。ジェッダ開催という決定は、文字どおりにホームのアドバンテージを彼らに与えた。しかも相手は国内リーグのシーズン中で、16時間をかけての大陸移動だ。今後数年にわたってサウジアラビアがACLEのホストなら、この開催形式が地元のチームに与える優位性は、今後の大会の人気向上や公平性の点で、大きな課題となっていくだろう」

　さらに、豊富な資金力で多くのスター選手を集めているサウジ勢に対し、川崎はJリーグで圧倒的な強さを見せていたころから主力が欧州に旅立っている。

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　ESPNは「サウジの裕福なファンドが所有するクラブのひとつであるアル・アハリは、ロベルト・フィルミーノやアイバン・トニー、リャド・マハレズといった国外からのトップクラスの選手たちがそろっている。マハレズのサラリーだけで、川崎のスカッド全体の約３倍とも報じられているのだ」と伝えた。

「一方で、川崎はカオル・ミトマやレオ・ハタテ、ヒデマサ・モリタ、アオ・タナカなど、2010年代後半に日本国内を支配していた際のメンバーがそれぞれ欧州に去っている」

　同メディアは「アル・アハリだけでなく、湾岸諸国における国家主導の大型投資の勝利でもあった。優勝できなかったら、ピッチ外では資金力でサッカー界における支配を増しているのに、それに反して２年連続でサウジアラビアはアジアで無冠になるところだったのだ」と続けている。

「それでも、試合前にシゲトシ・ハセベが言ったように、『選手たちはサイフやクレジットカードを持ってプレーするのではない』。その重要性を否定することはできないし、否定すべきではないが、一方でアル・アハリが勝者にふさわしい出来で無駄にしなかったことも認めないわけにはいかない」

　厳しい条件下で、ワールドクラスの大物たちをそろえる相手に、日本勢は再びアジアの王座に座ることができるか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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