狙い通りに試合を進め、一度きりの決定機を活かしたギリシャ。

誰も予想しなかったギリシャの戴冠。レーハーゲル監督はギリシャ国民に「街に出て、この勝利を祝ってくれ」と呼びかけた。 (C) REUTERS/AFLO

開幕戦、決勝戦で同じ相手に2度も敗れるという、悪夢と屈辱を味わった開催国ポルトガル。まさに最悪のフィナーレとなった。写真は当時19歳のC・ロナウド。 (C) REUTERS/AFLO
ポルトガルにとって、これ以上ないシチュエーションでの雪辱の機会が訪れた。
世界中が注目した開幕戦、開催国が敗北……。しかも相手は、大会前には出場16か国のなかで最弱と見られていたギリシャだ。
大恥をかかされた開催国は、一時はグループステージ敗退の危機にすら晒されながらも持ち直し、決勝トーナメントではイングランド、オランダを下して決勝へ駒を進めた。
一方のギリシャは、全てが驚きに満ちていた。開幕戦での堂々たるサッカーはその後、さらに強さを増していき、スペイン、ロシアを抑えてグループステージを2位で突破、ノックアウトステージではデンマーク、チェコに1点も許さずに勝利を挙げた。
タレント集団ならではのファンタジー溢れる攻撃をウリにするポルトガルと、水をも漏らさぬ堅固な守備を軸にして素早いカウンターを仕掛けるギリシャという、対照的な両者の対決が、7月4日、リスボンのエスタディオ・ルスで再度、実現した。
2年前の世界王者の将、ルイス・フェリペ・スコラーリは開幕戦のリベンジを果たすべく、十分に相手を研究し、この一戦に向けて準備を積んできた。しかし、彼の予想を上回るほどに、ドイツ人智将オットー・レーハーゲル率いるギリシャはしたたかで、手強い相手だった。
試合開始直後から、ギリシャは徹底して相手選手にプレッシャーをかけ続け、わずかな自由も与えない。ルイス・フィーゴとクリスチアーノ・ロナウドの両サイドが頻繁にポジションを入れ替えても、両SBのマークが剥がれることはなかった。
ギリシャは、ただ守るだけではない。ボールを奪うと、すぐに選手がラインを上げ、素早くパスを繋いでポルトガル・ゴールに迫る。これを繰り返すことで、相手を混乱させることに成功した。
完全にギリシャのペースとなった試合。ポルトガルは、時に2バックとなってサイドを軸に攻め込むも、相手の築いた守備の壁はビクともしない。そして無理をすれば、直後に切れ味鋭いカウンターの脅威に晒された。
スコアレスで迎えた後半。ギリシャの堅守速攻はさらに凄みを増し、ポルトガルを苦しめる。そして57分、CKからアンゲロス・カリステアスが競り合いに勝ち、ヘディングシュートをゴールに突き刺した。
開幕戦に続き、またしても先制を許したポルトガルは追い込まれ、60分には今大会での代表引退を表明していたルイ・コスタを投入して攻撃強化を図るが、巧みなマークの受け渡しを見せるギリシャの包囲網を破ることができないまま、時間は過ぎていく。
この試合、ただ一度の決定機をモノにしたギリシャは、その後、相手が攻勢を強めて自陣に攻め入ってきても、冷静に対処。時折、ゴール前に迫られることもあったが、その全てを弾き返してみせた。
スタンドからの乱入者によって熱戦に水を差されてから間もなく、試合終了の笛が鳴る。ギリシャの選手たちは、自ら成し遂げた偉業に歓喜の咆哮を上げ、ポルトガルの選手は肩を落とす。若きC・ロナウドは人目もはばからず、大粒の涙を流し続けた。
雪辱を期していたポルトガルを、「開幕戦の勝利がまぐれでなかったことを絶対に証明したかった」(カリステアス)ギリシャが返り討ちにしたのである。
勝利を信じ、スタンドの大部分を埋め尽くしたポルトガル人が茫然と見守るなか、キャプテンのテオドロス・ザゴラキスがアンリ・ドロネー・カップを高々とリスボンの夜空に掲げた。
◎7月4日に行なわれた過去のEUROの試合
◇2004年ポルトガル大会
決勝
ギリシャ 1-0 ポルトガル
※日付は全て現地時間
世界中が注目した開幕戦、開催国が敗北……。しかも相手は、大会前には出場16か国のなかで最弱と見られていたギリシャだ。
大恥をかかされた開催国は、一時はグループステージ敗退の危機にすら晒されながらも持ち直し、決勝トーナメントではイングランド、オランダを下して決勝へ駒を進めた。
一方のギリシャは、全てが驚きに満ちていた。開幕戦での堂々たるサッカーはその後、さらに強さを増していき、スペイン、ロシアを抑えてグループステージを2位で突破、ノックアウトステージではデンマーク、チェコに1点も許さずに勝利を挙げた。
タレント集団ならではのファンタジー溢れる攻撃をウリにするポルトガルと、水をも漏らさぬ堅固な守備を軸にして素早いカウンターを仕掛けるギリシャという、対照的な両者の対決が、7月4日、リスボンのエスタディオ・ルスで再度、実現した。
2年前の世界王者の将、ルイス・フェリペ・スコラーリは開幕戦のリベンジを果たすべく、十分に相手を研究し、この一戦に向けて準備を積んできた。しかし、彼の予想を上回るほどに、ドイツ人智将オットー・レーハーゲル率いるギリシャはしたたかで、手強い相手だった。
試合開始直後から、ギリシャは徹底して相手選手にプレッシャーをかけ続け、わずかな自由も与えない。ルイス・フィーゴとクリスチアーノ・ロナウドの両サイドが頻繁にポジションを入れ替えても、両SBのマークが剥がれることはなかった。
ギリシャは、ただ守るだけではない。ボールを奪うと、すぐに選手がラインを上げ、素早くパスを繋いでポルトガル・ゴールに迫る。これを繰り返すことで、相手を混乱させることに成功した。
完全にギリシャのペースとなった試合。ポルトガルは、時に2バックとなってサイドを軸に攻め込むも、相手の築いた守備の壁はビクともしない。そして無理をすれば、直後に切れ味鋭いカウンターの脅威に晒された。
スコアレスで迎えた後半。ギリシャの堅守速攻はさらに凄みを増し、ポルトガルを苦しめる。そして57分、CKからアンゲロス・カリステアスが競り合いに勝ち、ヘディングシュートをゴールに突き刺した。
開幕戦に続き、またしても先制を許したポルトガルは追い込まれ、60分には今大会での代表引退を表明していたルイ・コスタを投入して攻撃強化を図るが、巧みなマークの受け渡しを見せるギリシャの包囲網を破ることができないまま、時間は過ぎていく。
この試合、ただ一度の決定機をモノにしたギリシャは、その後、相手が攻勢を強めて自陣に攻め入ってきても、冷静に対処。時折、ゴール前に迫られることもあったが、その全てを弾き返してみせた。
スタンドからの乱入者によって熱戦に水を差されてから間もなく、試合終了の笛が鳴る。ギリシャの選手たちは、自ら成し遂げた偉業に歓喜の咆哮を上げ、ポルトガルの選手は肩を落とす。若きC・ロナウドは人目もはばからず、大粒の涙を流し続けた。
雪辱を期していたポルトガルを、「開幕戦の勝利がまぐれでなかったことを絶対に証明したかった」(カリステアス)ギリシャが返り討ちにしたのである。
勝利を信じ、スタンドの大部分を埋め尽くしたポルトガル人が茫然と見守るなか、キャプテンのテオドロス・ザゴラキスがアンリ・ドロネー・カップを高々とリスボンの夜空に掲げた。
◎7月4日に行なわれた過去のEUROの試合
◇2004年ポルトガル大会
決勝
ギリシャ 1-0 ポルトガル
※日付は全て現地時間
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