日本代表FW町野修斗がプレーするキールは、佐野海舟を擁するマインツとのアウェー戦に挑み、１－１の引き分けで貴重な勝点１を手にした。

　最下位の18位に沈むキールだが、この日は前半からチームとしてとてもアクティブな動きが随所にみられ、４位でチャンピオンズリーグ出場権争いをしているマインツに善戦。特に前半は互角以上の展開に持ち込んだなか、その大きな要因となっていたのが町野だった。

　マンツーマン気味に守備をするマインツに対して、町野がクリアボールやセカンドボールをしっかりと収めて起点となるので、味方がフリーで抜け出しやすくなる。

　試合後に佐野が「めちゃくちゃ起点になってましたし、めちゃくちゃ嫌な動きをたくさんされた。ああいう選手をしっかり消さないといけないし、自分もああいうふうに脅威になれないといけないなと思います」とそのプレークオリティに素直に賛辞を贈っていたように、キールが生み出すチャンスのほとんどに日本代表FWが絡んでいた。

「練習の成果というか、いままでやってきたことがポストプレーに出てくるようになってきてますし、続けてやっていきたいです」

　町野も自身のプレーぶりに満足していた。ポストワークだけではない。守備でも精力的に何度もプレスをかけ、長い距離をスプリントして上下動を繰り返し、惜しいシュートシーンも何度かあった。

　23分、右サイドからのクロスにヘディングシュート。枠をとらえるも、GKがファインセーブ。29分にも左サイドからのグラウンダーの折り返しにフリーで左足ダイレクトシュートを狙ったが、これはミートできず。40分にも自身のポストプレーを起点にカウンターを発動させ、スルーパスに反応して左サイドから抜け出す。

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　角度のないところから狙ったシュートはGKに弾かれCKを獲得。後半はシュートこそなかったが、ポストプレーから決定機を演出するなど、そのパフォーマンスレベルは間違いなく上がってきている。

　戦力的に、ピンポイントクロスの供給はそこまで期待できない。となると、ビックチャンスになるかもしれないところへ走り込む頻度をどんどん増やしていくことが重要になる。町野は「そうですね」と頷いた後、力強くこう言い切った。

「そこに入っていかないと点は取れないです。点を取る選手はペナルティエリア内に走り込めたり、いいポジションにいる。そこは意識してやっています」

　また自身のシュートシーンについては次のように振り返っている。

「(ダイレクトシュートの場面は）芝も結構長くて、止まるところと水がまかれて滑るところがあって。トラップできたかもしれないですけど、見返して反省します」

　勝点１を積み重ねたことで、同日にシュツットガルトに敗れた17位ボーフムとの勝点差を２に、レバークーゼンに敗れた16位ハイデンハイムとの勝点差を４にと縮めた。

　自動残留となる15位はまだかなり遠いが、２部３位との入れ替え戦出場となる16位は現実的な目標といえる。クラブを残留へ導くために、この試合で見せたパフォーマンスに加え、ゴールやアシストという得点に直結する活躍を町野には期待したい。

取材・文●中野吉之伴

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