ファイナルホイッスルの瞬間。三笘薫は両手で渾身のガッツポーズを見せ、チームが一体となって掴んだ勝利を喜んだ。

　本拠地アメックススタジアムにボーンマスを迎えたこの試合。定位置の左ウイングで先発フル出場した三笘には、公式戦４戦連続ゴールが期待されていたが、オフェンスで貢献する機会は限られた。

　一方で、90分間を通じて精力的にピッチを走り回り続け、時には自陣のボックス内まで戻って守備に奔走。執拗にゴールに迫り続ける敵の攻撃を、背番号22が跳ね返す光景も再三見られた。

　この試合、チェリーズ（ボーンマスの愛称）の魅力的なアタッキングフットボールに対して、ブライトンはオフェンシブな振る舞いを封印。ファビアン・ヒュルツェラー監督は選手たちに、堅い守りをベースにロングボールとショートカウンターで対抗する、プラグマティックな戦いぶりを徹底させた。

　作戦が奏功して、苦しい展開ながらも終わってみれば、アンドニ・イラオラ監督率いる今季好調の難敵に２－１で粘り勝ち。欧州カップ戦の出場権を争う宿敵を退けて、価値ある勝点３をもぎ取った。だが試合後の三笘はいたって冷静だった。

「（勝利は）大きいですけど、ここで勝つことが次にもつながりますし、これからどうなっていくかが議論できるところになってくると思う。大きな勝点３ですけど、もう（次戦の）FAカップにしっかりと向けていきたいと思います」
【動画】三笘薫が40メートル独走ドリブルから絶妙ループ弾　

　リーグ戦11試合を残して、ブライトンは８位につけている。しかしチャンピオンズリーグ（CL）出場権獲得枠となる４位のマンチェスター・シティと勝点４差。加えてUEFAランキングのポイント次第でCL出場枠が拡大されるのだが、今季はプレミアリーグのチームの出場枠が一つ増やされる見込みとなっている。現在そのポジション、つまり５位のチェルシーとは勝点わずか３差。これらビッグクラブの背中はしっかりと見えている。

　それだけに本人も「どのチームにもチャンスはあると思うんで。でもここ数試合の戦い方というのは間違いなくいい方向に行っていると思います」と話す。

　しかし一方で、プレミアリーグで３年目のシーズンを過ごす27歳は、その怖さも十分理解している。

「いやまだそこ（CL出場について）は話すところじゃないと思いますし、連勝できたということは連敗する可能性もありますし、何が起こるか分からない。プレミアなんで、ほんとに。これからだと思いますけど、チームとしての雰囲気はいいですし、戦術的に上手くハマっているところが多くあるかと思います。今日はハマらなかったですけど、上手く戦ったと思います」