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PK失敗で「3年生に申し訳ない」涙にくれた決勝戦から数日後...流経大柏の安藤晃希が口にした思い「新チームを自分が引っ張っていかないと」

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2025年01月27日

監督の信頼も厚く、全5試合で途中投入

決勝はPK戦で敗れ準優勝。悔しい経験が今後の成長の糧になるはずだ。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 第103回全国高校サッカー選手権大会の決勝戦。国立競技場には5万8347人もの観衆が詰めかけ、歴史に残る大熱戦となった。

 勝負は延長戦を含めて110分で決着がつかず、PK戦に突入した。もつれにもつれた10人目。先行の流通経済大柏のキッカーは、途中投入された2年生MF安藤晃希。大観衆の視線が集中するなかで、ペナルティスポットにボールを置いた。

 ゆっくりとした助走から右足を振り抜いたが、ボールは前橋育英GK藤原優希によってゴールの外に弾き出されていった。後攻の前橋育英の10人目、MF柴野快仁のPKが決まった瞬間、前橋育英の2度目の優勝が決まった。

 涙にくれた決勝戦から6日後の1月19日、流通経済大柏が新チームのスタートを切った。オフを挟んで初陣となる新潟の北越高とのトレーニングマッチで、安藤は左サイドハーフでスタメン出場し、得意の縦へのドリブルでチャンスを演出するなど質の高いプレーを見せた。試合後、彼に話を聞くと、今の思いをこう口にした。

「決勝後に3年生が『来年はお前が国立に連れていって、流経柏を日本一にしてくれ』と言ってくれて、新チームを自分が引っ張っていかないといけないという気持ちが強くなっています」

 選手権において彼はチームのジョーカー的な存在だった。途中から入って、爆発的なスピードを活かした切れ味鋭いドリブルで流れを変えたり、チャンスメイクをして攻撃の起爆剤となるのが役割だった。

 初戦の佐賀東戦では1ゴールをマーク。3回戦の大津とのビッグマッチでも、1-1の緊迫した場面で投入され、前への推進力を生み出して、2-1の勝利に貢献するなど、榎本雅大監督の信頼も厚く、全5試合で途中投入された。

「あんな大観衆の前でサッカーができたのは3年生のおかげだったのですが、自分の良さを出すことができなかった。2年生なのにPKを外してしまって、3年生には申し訳ない気持ちでいっぱいでした」
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 相当な重圧の中でのPKだけに、止められたことは責められない。だが、彼が悔やんでいるのは決勝において1-1の71分に投入されたが、ドリブルが引っかかったり、カウンターを受けるきっかけを作ってしまったりと、110分間の中でチームを勝利に持っていけなかったことにある。

「僕の良さは縦への仕掛けなのですが、勝ち上がっていくにつれてそれを読まれていると感じましたし、どこか短調になってしまっていたり、シュートまで持ち込めなかったりしていると感じました。決勝もちょっと空回りをしてしまったというか、役割を明確に与えられて試合に入ったのに、その役割を果たせなかった。決勝だけではなく、全体を通じて自分の力のなさを突きつけられた大会でした」

 この課題はずっと山根巌コーチから指摘されていたことだった。

「山根さんからも仕掛けるまではいいけど、シュートだったり、チャンスメイクだったりができていない、どうしても突破にパワーを使ってしまって、フィニッシュの部分が雑になると指摘を受けていました。改めてそこの課題に真剣に向き合わないといけないと感じました。縦一辺倒ではなく、中にカットインしてシュートやラストパスなど、相手がどこに仕掛けてくるのか分からないような選手になりたいと思います」

 悔しい経験が大きな糧になる。選手権初戦で取材をした時と表情が明らかに違った。強烈な自覚が芽生えたことで、稀代のドリブラーはより大きな成長を見せてくれるだろう。

 まずはU-17日本高校選抜で来季の決意表明となるプレーを見せて、飛躍の1年への足掛かりにしていく。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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