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パレス鎌田大地が語る「自分が苦戦している理由」。やりたいことはできなくても“剛”のスタイルに「成長できるところはある。選手としては良い機会」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

田嶋コウスケ

2025年01月15日

現地メディアでチーム最高点タイとなる「8点」

プレミアで残留を争うパレスで、鎌田の“本領発揮”にはもうしばらく時間がかかるか。(C)Getty Images

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 鎌田大地が、クリスタル・パレスで眩しい輝きを放った。

 1月12日に行なわれたFAカップ3回戦の対ストックポート戦で、鎌田は3-4-2-1のセントラルMFとして先発フル出場し、1-0の勝利に貢献した。

 鎌田のフル出場は、昨年11月2日のウォルバーハンプトン戦以来、約2か月ぶりのこと。試合後、34.1%の得票率を獲得してサポーター投票のMOMにも選ばれた。決勝点を奪ったエベレチ・エゼが21.2%の2位にとどまっただけに、鎌田の活躍が光る一戦となった。

 この試合で大きなポイントになったのは、クリスタル・パレスの「ボール保持率」だった。FA杯3回戦の相手は、イングランド3部のストックポート。プレミアリーグの戦いでは相手にボールを握られ、守備にまわる展開が圧倒的に多いが、この日は相手とのレベルの差もあり、クリスタル・パレスが試合の主導権を握った。

 前半終了時におけるクリスタル・パレスのボール保持率は「81%」で、5バックで守備を固めるストックポートに対し、クリスタル・パレスが押し込む展開となった。

 そのなかで、鎌田は効果的なプレーを見せた。ピッチの縦幅と横幅をうまく使いながら、パスワークに絡んでいく。ある時は相手DFとMFの間のスペースでボールを受ければ、ある時は最終ライン近くまで下がってパスコースを作る。こまめに立ち位置を移してボールを動かし、円滑なボールポゼッションに寄与した。

 こうした鎌田の動きが実を結んだのが、前半4分の得点場面だった。ボールを受ける直前に首を振り、前方のスペースを確認してからドリブルを開始。ペナルティエリア付近までボールを運ぶと、ゴール前にラストパスを送った。

 相手選手がクリアしきれなかったボールをエゼが奪い、そのまま右足を一閃──。ゴール右下にきれいに叩き込んだ。パスが相手選手に当たったため鎌田にアシストはつかなかったが、日本代表の積極的なプレーが得点に結びついた。

 その後も、味方のスルーパスに反応した鎌田がポケットに向かってディフェンスラインの背後をフリーランで突いたり(13分)、ワンタッチでボールを叩いてチャンスを生み出したりと(23分)、好機に絡んでいった。

 後半43分には、鎌田が前線にきれいなスルーパスを通した。受け手のジェフェルソン・レルマがGKと1対1となり、最後はボールをゴールに流し込むだけでよかったが、力を入れすぎたシュートは大きく枠を外れた。このまま1-0で試合終了。英サッカーサイト『フットボールリーグ・ワールド』は鎌田にチーム最高点タイとなる「8点」の高評価を与えた。
 
 試合後、鎌田は次のように振り返った。

「下部リーグの相手だったので、チームとして久しぶりにボールを保持して戦えた。フランクフルトやラツィオ、日本代表でも、今日のような感じでプレーしてきた。こういうプレーを、プレミアリーグでもできれば理想的だなと思う。

 シーズンが始まる前、『こういうプレーができるように』というので、このチームに入った。これまでは今日の試合のようにプレーしてきましたけど、今季のプレミアリーグでは、基本的にチームは『守備をしてカウンター』という戦い方になっている。

 今日のようにプレーしている方が、自分の良さが出ると思う。ボールを保持して戦うチームでしか、今までやってこなかったので。このギャップが今シーズン、自分が苦戦している理由のひとつなのかなと思います」

 鎌田の言葉には説明が必要だろう。今季のクリスタル・パレスの戦い方を簡単に要約するなら、守備を固めての「堅守速攻」。基本布陣は3-4-2-1だが、プレミアリーグの戦いでは守備を重視し、実質的に5バックでディフェンスに人数を割く。攻撃は、最前線に陣取る大型FWジャン=フィリップ・マテタに長いボールを入れる「カウンター」がメインだ。

 192センチのマテタが前線でボールを収め、そこから攻撃的MFのイスマイラ・サールがスペースに飛び出したり、エゼが個人技で突破したりすることで、攻撃の形を作っている。しかしフィジカル重視のクリスタル・パレスのプレースタイルと鎌田のそれが、今のところまったく合っていないのだ。

 フィジカルプレー重視のクリスタル・パレスを「剛」と表現するなら、鎌田のそれは「柔」である。普段のプレミアリーグでは、日本代表はひたすら守備に走り回ったり、良いエリアでボールを受けられなかったりと、苦戦を強いられている。

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