［高校選手権・１回戦］龍谷富山（富山）０-０（５PK４） 那覇西（沖縄）／12月29日／味の素フィールド西が丘

　味の素フィールド西が丘には独特の緊張感が漂う。Jリーグでも日本代表戦にもないまさに“独特”のムードだ。

　冬の高校選手権、選手たちにとっては待ちに待った舞台。とはいえ、負ければ即敗退という過酷な戦いでもある。天国か地獄か。わずか80分という時間の中で、そのどちらかを味わうわけだから、監督、選手たちの緊張感は半端ない。

　当然ながら、ピッチ内では「これが全国大会？」というようなミスも出る。ただ、当然のことだと思う。プロでもない高校生なのだ。ミスがあって当たり前だし、それが高校サッカーの醍醐味だと個人的には感じている。

　ミスがあってのサッカーだし、高校サッカー選手権の試合はとにかく“人間臭い”。そんなことを考えながら観戦していた龍谷富山と那覇西の一戦、PK戦で２回戦に駒を進めたのは龍谷富山だった。前半から攻め込まれながらもどうにか耐え凌いで掴んだ２回戦への切符だった。
 

　プレッシャーに呑み込まれてしまったのか、那覇西は県予選で見せつけたような攻撃力を発揮できなかった。実際、那覇西の運天直樹監督は「いつもよりは緊張していて、少し前へ前へと言うのはあったと思います。この初戦に勝っていれば、２回戦以降はもっとリラックスしてできたかもしれません」と話している。

　選手権特有の重圧をやはり感じていたのか。そうしたニュアンスの質問を運天監督にすると、以下の答が返ってきた。

「そうでしょうね。僕としても選手としてもこうした舞台は経験していないので、緊張しているのかな、どうかなと自問自答したなかで、やはり緊張していたんでしょうね」

　ぽろっと本音を覗かせてくれる監督の人間臭いコメントも、選手権ならではのものである。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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