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「“相手を見てサッカーをする”というのはまだまだ」鈴木雄斗が分析する湘南の課題「我慢の選択が必要な時もある」

カテゴリ:Jリーグ

岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

2024年09月18日

新潟戦は「前からハメに行く練習をしていた」

3-5-2の右ウイングバックで今季の30試合中29試合で先発フル出場を果たしている鈴木雄。優れた言語化能力でチームメイトへの戦い方の提示も行なう。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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「相手を見てサッカーをしろ」

 湘南ベルマーレの山口智監督が、常々口にしている言葉だ。指揮官やコーチングスタッフの仕事も大事だが、結局ピッチで戦うのは選手。最も尊重されるべきはプレーヤーの考え、というのが山口監督の信条で、選手たちの判断の質の向上を、日頃から促し続けている。

 山口体制の4年目。その質は少しずつ高まっており、ボールを保持するスタイルが定着しつつあるなかで迎えたJ1第30節のアルビレックス新潟戦だったが、相手のポゼッションサッカーに対して準備してきたプレスが空転。前半に2失点した後も選手間の意思を統一し切れず、後半に追加点を許して3-1で敗北を喫した。山口監督の下で積み上げた戦い方において、未熟さを露呈した一戦だったと言えるだろう。

 今季、ジュビロ磐田からの完全移籍で加わり、副将としてピッチ内外でチームに貢献しているMF鈴木雄斗も「“相手を見てサッカーをする”というのはまだまだです」と語る。

「ボールを持たれた時のプレスのかけ方は準備していました。ただ、その通りにハメられなかった。新潟が事前のスカウティングや想定を上回る動きを見せてきた部分もあります。例えば、2トップは長倉(幹樹)選手ひとりだけが中盤に下りてくる想定でしたが、実際は小野(裕二)選手も下りてくる形だった。中盤で数的優位を作られて、守備のスライドが難しくなってしまいました。

 どこでボールを取りに行くのか。プレスに行くのか、行かないのか。タイミングを見て、もう少し低い位置で戦う判断をしても良かったかもしれません。でも、前からハメに行く練習をしていただけに、“次はいけるんじゃないか”という気持ちで前に行き続けて、ハマらずにパスを回されて、体力を削られてしまった」
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 準備してきた守備が通用しないなら、自分たちでボールを握った際に落ち着いて時間を作るか、自陣でブロックを組んで次の攻撃に備えるべきだったかもしれない。ただ、先に1失点をして、前に出なければいけない状況だったのも苦しかったのだろう。

 鈴木雄も反省を口にする。

「色々な状況は想定していたんですけどね。センターサークルの敵陣の頂点辺りにフォワードを立たせて、相手に後ろで回させるような守備は、うちはあまりやらない。ただ、試合によっては、相手の戦い方を見て我慢の選択が必要な時もあると、改めて感じました。特に最近、そういった戦い方をする必要がなかっただけに。

 気候的にもすごく暑かったし、相手のパスに走らされて、消耗していた。息が上がった状態でプレスに行き続けるのは良くありませんでした。特に、前線の選手は後ろの選手の指示に動かされる形で、リアクションで守備をしないといけない。後ろの選手は前を動かす分、タイミングよく動かしてあげないと、前がプレスに行っているのにボールを奪えず、余計なパワーを消費してしまう。そういう意味でも後ろの責任は大きいです」

 もちろん、準備段階で二の矢、三の矢を用意できればベストだが、相手がいるのがサッカーだ。今後も想定外な状況は起こり得るだろう。準備してきた戦い方が効果を示さなかった時、ピッチ内で即座に修正できれば、失点を防げる可能性も高まるはずだ。

 新潟戦で新たに浮かび上がった“ピッチ内での対応力”という課題。すぐに解消するのは難しいが、今季の残り8試合で徐々に積み上げたい。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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