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空振りからの劇的な決勝弾。先発落ちに燃えた山田新が見せたゴールへの執念と大久保嘉人、小林悠らの系譜を継ぐ川崎エースへの一歩

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年09月14日

貪欲に狙い続ける男のもとへボールが

決勝ゴールを奪った山田。雄叫びを上げた。写真:鈴木颯太朗

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[J1第30節]川崎 3-2 鳥栖/9月13日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 試合終了間際、川崎を救ったのは新エースへの進化が期待される24歳のアカデミー出身のストライカー、山田新だった。

 ルヴァンカップではJ2の甲府を下してベスト4に進出したが、リーグ戦で連敗中の川崎は、降格圏と勝点6差の状況。最下位に沈む鳥栖との一戦は絶対に勝ちたいゲームであった。

 しかし、11分に橘田健人のミドルで先制しながら、後半開始早々に追いつかれ、61分には家長昭博のゴールで勝ち越すも、90+1分にPKで追いつかれるよもやの展開を迎えていた。

 示されたアディショナルタイムは7分。

「(時間は)あるぞとみんなも言っていた」

 後半開始から投入されたCF山田も振り返ったように、ホームで負けるわけにはいかない川崎は前に出る。

 そして試合終了間際、左サイドでSB三浦颯太の縦パスにウイングのマルシーニョが相手エリア内に抜け出し、右足アウトサイドでクロス。待っていたのは山田だった。

 しかし、絶好のボールを山田は合わせきれない。「やばい...」、そう思った瞬間、背後にいたディフェンダーに当たったボールが目の前に戻って来た。2度目のチャンスは決して逃さない。ヘディングで押し込んだ瞬間、スタジアムが歓喜に沸いた。

「マルシーニョ選手からいいボールが来たので、本当は一発で決めたかっですが、上手くミートできなかった。それでもラッキーな形ではね返ってきた。目を切らさずにボールを追えていたのが良かった」
【動画】川崎×鳥栖ハイライト

ゴール後にはサポーターのもとへ飛び込んだ。写真:鈴木颯太朗

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 即座に走ったのは“Gゾーン”と呼ばれるサポーターの下だった。

「負けが続いていましたし、不甲斐ない試合をしていたので、劇的な得点で、気持ちよく飛び込みました。何を言ってくれているのかは分からなかったですね。熱気がすごかったです」

 これで今季12ゴール目。リーグの得点ランキングでは4位タイに浮上した。大卒2年目で副キャプテンを担う男は力強く進化していると言えるだろう。

 もっとも26節のFC東京戦(8月11日)では3試合連続となる2ゴールを決め、Jリーグ通算9人目、日本人としては中山雅史、大久保嘉人に次ぐ通算3人目の記録を打ち立てたが、リーグ戦ではその後の2試合で無得点。チームも連敗を喫していた。

「12ゴール取れていますが、なかなかチームとして勝てていない。自分がもっと取っていれば、勝ちを増やせたと思う」

 この日はCFの先発の座をエリソンに譲っていた。

「自分は得点できていませんしたし、競争のなかでそういうことがあると思います。一回休みじゃないですが、しっかりベンチから見ることで見えてくるものはあった」と語った一方で、自慢のフィジカルでゴールへ迫り、ギラギラ感を放ち続ける男は、やはり抱えているものもあった。

「悔しい想いももちろんありますし、いろんな想いがあったと思います」

 試合前日には鬼木達監督と、練習後に意見をぶつけあったという。

 どんな会話をしたのか。

「昨日、結構話しましたし、何かと言われるとあまり覚えていない」とはぐらかされてしまったが、何かしらの刺激はあったのだろう。

「ゴールへの執念ではないですが、絶対にゴールを取る。それしかない。他のことをあまり考えないで、ゴールを取ることだけにフォーカスできている」

 そう決意している男のもとにボールは転がってくるに違いない。

 試合途中に脇坂泰斗から託されたキャプテンマークを腕に、サポーターのもとへダイブする姿は絵になった。

 不器用ながらゴールを常に狙い続ける。

 大久保嘉人や小林悠ら先輩ストライカーたちはガムシャラにでもゴールを求め続ける姿で観る人たちの心を震わせてきた。そんな川崎のエースへ、山田がまたひとつ、歩を進めた瞬間だったように映る。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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