【セルジオ越後の天国と地獄】OAの起用は当たり前。是非を問う議論は時間の無駄だ

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェスト編集部

2016年05月24日

“自分たちの力で”五輪を戦った本田らも、結局は世界の舞台ではなにも示せなかった。

個々のトップレベルでの経験値に乏しい手倉森ジャパン。メダル獲得が目標なら、OAの起用に議論の余地はない。(C)Getty Images

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 8月にリオ五輪を控えるU-23日本代表が、その前哨戦とも言えるトゥーロン国際大会に出場しているね。すでに2連敗と旗色は悪いけど、強豪国との対戦は、世界における日本の現在地を知るうえで貴重な経験だ。多くの選手や組合せがテストできるだろうし、なんとか巻き返して自信を得られる結果と内容を残したいね。

 もっとも、メンバー構成に、ここからドラスティックな変化はないだろうね。マスコミは“サバイバル”と騒ぐかもしれないけど、すでにチームの土台は出来上がっている。怪我人が大量に発生しているのは気がかりだけど、最低限の見極めになるはず。むしろ、ここから大きな変更があるとしたら、今までのチーム作りはなんだったのかという話だよ。

 それよりも、オーバーエイジ(以下、OA)で誰を呼ぶかのほうが重要であり、最大の関心事だ。「OAを使うべきかどうか」という議論もあるようだけど、メダル獲得が目標なんだよね? 前回大会ではOAを入れてもメダルには届かなかった。それなのに今回は使わない理由がどこにあるのか。
 
 日常的にトップレベルでしのぎを削っている選手たちでチームが編成されているなら、そこで初めてOAの必要性が議論されてもいい。日本はその段階にも達していないんだから、OAを使って当然。経験という観点でも、負けるよりかは勝って得るもののほうが大きいはず。その確率を少しでも高めるには、OAでチームを強化すべきだと思うよ。

 北京五輪ではOAを使わず、惨敗を喫した。でも、そこで苦い想いを味わった本田や香川、岡崎、長友らはその後、悔しさを発奮材料に着実な成長を果たし、今ではA代表の中心選手として活躍している。こうした過去があるから、23歳以下の選手だけで五輪を戦う意味はあるとする見解は分からなくもない。

 たしかに、彼らは“自分たちの力で”五輪を戦って、A代表の主軸となった。だからといって、ワールドカップで結果を出したわけではないよね。本田らが主軸となって挑んだ2年前のブラジル大会を思い出してほしい。北京五輪と同様にグループリーグで敗退だ。結局、世界の舞台ではなにも示せていないんだ。

 つまり、今の日本はどのカテゴリーにおいても、世界レベルで戦えるレベルにはないんだ。であれば、少しでも勝てる可能性が高まる選択肢を、自ら捨てる必要はないよね。

 最終的な目標はなんなのか。A代表でレギュラーになることや、ワールドカップのメンバーに選ばれればOKなのか。それで育成が上手くいったと胸を張るなら、日本はいつまでたっても世界で勝てないだろうね。
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