誰よりもユニホームを汚しながら、勝利に貢献してきた29歳。
2015-16シーズンのヨーロッパリーグ。セビージャが3連覇を決めたリバプールとのファイナルで2得点を決め、マン・オブ・ザ・マッチに輝いたのは、右ウイングを担うキャプテンのコケだった。
「1点目を奪ったことで、そこから自信を持って戦えるようになった」とエメリ監督が振り返る後半キックオフからの同点ゴールは、左からのクロスのクリアボールを拾った右SBのマリアーノのドリブル突破から生まれた。
その際、コースを同サイドで作ったのがコケだ。そうした気の利いたプレーで貢献することの多いサイドアタッカーが主役になったのは64分だった。
【EL決勝|採点&寸評】黒子からヒーローになったコケがMOM!
左サイドに流れていたコケは、ビトーロからの縦パスをCBのロブレンにチャージされながらもワンタッチで戻し、そこからビトーロがバネガとのワンツーを成立させるあいだに左からゴール前に向けて動き出す。
そして、リバプールの右SBクラインにつかれながらも身体ひとつ分乗り出したコケは、ビトーロが前に出したボールを右足で捉え、ゴール右に流し込んだ。
そこから一直線にゴール裏の左側に陣取るセビージャのサポーターの方向へ駆け出し、コケはスライディングしながらガッツポーズで喜びを表わした。
「リードされても巻き返す自信はあった」と語るキャプテンは、絶妙のポジショニングからチャンスメークに絡み、そこから集中を切らせることなく味方のプレーに連動して、値千金の逆転ゴールを決めた。
さらに彼は、70分に自身のボール奪取から追加点を決める。
右SBからのパスを中盤で受けたジャンがコントロールを誤り、前にボールをこぼすとコケが素早く反応し、ファーストタッチでFWのガメイロにボールをつける。そこから左前方に流れるガメイロの内側を追い越すと、バネガが左で起点を作るあいだにエリア内を右にスライドした。
ここからバネガの横パスを受けたビトーロの“縦パス”をコケが受けた場所はオフサイドポジションにも見えたが、実際は戻りながらの守備を強いられていたMFララーナの足に当たっていた。
狙い澄ましたシュートでGKミニョレの脇を破ったコケも一瞬、ラインズマンが上げた旗を見たが、主審がゴールの判定を下すと、再びサポーターの方に走っていった。
終盤にもあわやハットトリックという惜しいシュートを放ったコケだが、全体の流れのなかでは守備での奮闘と精力的なサポートが目立っていた。特に前半は劣勢の状況で相手の左SBモレーノを厳しくマークし、時に右SBのフェレイラとともにコウチーニョの仕掛けを寸断した。
気が利くプレーを継続しながら、好機を逃すことなく2得点という大きな仕事をやってのけたコケは、元々SBを本職としていた選手だ。
「コケは何でもできる選手」と評価するエメリ監督が彼を右ウイングにコンバートしたのは、攻撃陣の誰かしらが毎シーズン移籍するチーム事情による部分もあったに違いない。
キャプテンとしてチームを支える今シーズンも、ここまで決して派手な活躍をしていたわけではないが、毎試合のように誰よりもユニホームを汚しながら勝利に貢献してきた29歳のハードワーカーが、3連覇の懸かる決勝の舞台で大仕事をしてみせた。
まさに、これまでの貢献に華を添える2得点となった。
現地取材・文:河治 良幸
「1点目を奪ったことで、そこから自信を持って戦えるようになった」とエメリ監督が振り返る後半キックオフからの同点ゴールは、左からのクロスのクリアボールを拾った右SBのマリアーノのドリブル突破から生まれた。
その際、コースを同サイドで作ったのがコケだ。そうした気の利いたプレーで貢献することの多いサイドアタッカーが主役になったのは64分だった。
【EL決勝|採点&寸評】黒子からヒーローになったコケがMOM!
左サイドに流れていたコケは、ビトーロからの縦パスをCBのロブレンにチャージされながらもワンタッチで戻し、そこからビトーロがバネガとのワンツーを成立させるあいだに左からゴール前に向けて動き出す。
そして、リバプールの右SBクラインにつかれながらも身体ひとつ分乗り出したコケは、ビトーロが前に出したボールを右足で捉え、ゴール右に流し込んだ。
そこから一直線にゴール裏の左側に陣取るセビージャのサポーターの方向へ駆け出し、コケはスライディングしながらガッツポーズで喜びを表わした。
「リードされても巻き返す自信はあった」と語るキャプテンは、絶妙のポジショニングからチャンスメークに絡み、そこから集中を切らせることなく味方のプレーに連動して、値千金の逆転ゴールを決めた。
さらに彼は、70分に自身のボール奪取から追加点を決める。
右SBからのパスを中盤で受けたジャンがコントロールを誤り、前にボールをこぼすとコケが素早く反応し、ファーストタッチでFWのガメイロにボールをつける。そこから左前方に流れるガメイロの内側を追い越すと、バネガが左で起点を作るあいだにエリア内を右にスライドした。
ここからバネガの横パスを受けたビトーロの“縦パス”をコケが受けた場所はオフサイドポジションにも見えたが、実際は戻りながらの守備を強いられていたMFララーナの足に当たっていた。
狙い澄ましたシュートでGKミニョレの脇を破ったコケも一瞬、ラインズマンが上げた旗を見たが、主審がゴールの判定を下すと、再びサポーターの方に走っていった。
終盤にもあわやハットトリックという惜しいシュートを放ったコケだが、全体の流れのなかでは守備での奮闘と精力的なサポートが目立っていた。特に前半は劣勢の状況で相手の左SBモレーノを厳しくマークし、時に右SBのフェレイラとともにコウチーニョの仕掛けを寸断した。
気が利くプレーを継続しながら、好機を逃すことなく2得点という大きな仕事をやってのけたコケは、元々SBを本職としていた選手だ。
「コケは何でもできる選手」と評価するエメリ監督が彼を右ウイングにコンバートしたのは、攻撃陣の誰かしらが毎シーズン移籍するチーム事情による部分もあったに違いない。
キャプテンとしてチームを支える今シーズンも、ここまで決して派手な活躍をしていたわけではないが、毎試合のように誰よりもユニホームを汚しながら勝利に貢献してきた29歳のハードワーカーが、3連覇の懸かる決勝の舞台で大仕事をしてみせた。
まさに、これまでの貢献に華を添える2得点となった。
現地取材・文:河治 良幸