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見た目以上にメンタルもスタミナも削られる戦い方をあえて選択し、実直にこなすなでしこジャパンの姿は感動的だった。それでも...【パリ五輪/コラム】

カテゴリ:女子サッカー

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2024年08月04日

頂点を狙ううえで不足していたのは?

長野(中央右)の奮闘も光ったが。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 できることなら、勝たせてあげたかった。パリ五輪の女子サッカー準々決勝でアメリカに敗れたなでしこジャパンのことである。

 格上のアメリカを倒すにはこうだろうという戦い方を、なでしこジャパンは実践した。オープンな展開を避け、基本的には5-4-1システムで3ラインをしっかりと保って焦れずに粘り強く守る。見た目以上にメンタルもスタミナも削られる戦い方をあえて選択し、それを実直にこなす彼女たちの姿は感動的だった。

 なかでも素晴らしかったのは長谷川唯と長野風花のボランチコンビで、ふたりは絶妙な距離感で前線と最終ラインを繋ぐ役割を果たしていた。地味ながらもタフに戦った長谷川と長野のおかげもあり、延長前半のアディショナルタイムに失点するまでなでしこジャパンの守備網が完全に崩されるシーンは皆無と言ってよかった。

 0-1で負けたとはいえ、なでしこジャパンはアメリカ戦で今大会最高のパフォーマンスを披露した。しかし、金メダルを獲得できるほどの力があったかと言えば「ノー」となる。

 グループステージ初戦でスペインに試合内容で圧倒されるなど、頂点を狙うには明らかにクオリティ不足だった。最終ラインのビルドアップ力、FWの得点力など、課題を挙げればそれなりに出てくる。
 
 アメリカ戦でもCBのミスから大ピンチを迎えたり、良い崩しまではできてもフィニッシュの局面で怖さを出せない。東京五輪、昨年の女子ワールドカップに続き、パリ五輪でもベスト8止まり。ある意味、ここがなでしこジャパンの限界だったのかもしれない。

 そう考えると、今回のベスト8は妥当な結果である。スペイン、アメリカに敵わない現状をどう捉え、どう強化していくか。日本サッカー協会のアクションが見ものである。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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