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PK戦負けで8強敗退。悔しい結果にも前を向く青森山田の選手たち。その背中を押したのは指揮官の言葉だった【総体】

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2024年08月01日

「もう二度とこんな悔しい思いをしないように戦って行こう」

帝京長岡戦で先制した青森山田だが、同点に追いつかれてPK戦負け。8強で大会を去ることに。写真:安藤隆人

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[インハイ準々決勝]帝京長岡 1(3PK2)1 青森山田/7月31日/JヴィレッジP1

「選手たちはよく最後までハードワークをしてくれました。秋以降が楽しみだなと思っております」

 インターハイ準々決勝・青森山田vs帝京長岡のプレミアリーグ勢対決の試合後、PK戦の末に涙した青森山田の正木昌宣監督はこう口にした。

 これまでインターハイ優勝2回、選手権優勝4回を誇る青森山田は、11分にMF別府育真(3年)が味方のシュートのこぼれ球に反応して幸先良く先制した。

 しかし、前半アディショナルタイム2分に帝京長岡のFW柳田夢輝(3年)のパスに右サイドバックの小沼蒼珠(3年)が反応し、「大きく蹴り出そうと思った」が芝生に足をとられてしまい、スライディングでクリアする形に。

 しっかりとミートできなかったボールを相手MFの永井仁之(3年)に拾われて、そのままGKとの1対1から同点弾を浴びてしまった。

 そして後半は、より中央に人数を割いてきた帝京長岡の攻撃の前に後手に回り、何度もピンチを迎えた。それでも守備の要である小沼、ボランチの谷川勇獅(3年)を軸に伝統の堅い守備で逆転ゴールを与えなかったが、その一方で攻撃陣はシュートゼロに終わり、1-1のままPK戦へ。

 2人失敗した相手に対し、青森山田は3人がGKのセーブと枠を外し、彼らのインターハイはベスト8で幕を閉じた。

 悔しい敗戦だったが、冒頭で触れた通り、指揮官は顔を上げてその先を見つめていた。それは選手も同じだった。

「試合前から相手のクオリティが高いのは分かっていたし、守備の時間も長くなるという覚悟を持ってこの試合に挑みました。でも、前半の最後に追いつかれ、後半は相手のポジションがさらに流動的になって、中央に人が増えてきたことに対して対応がうまくできなかった。縦に入れられた時に、僕らダブルボランチのプレスバックをしても脇から2枚、3枚出てくるなど相手の運動量の方が多かった」

 昨年の経験者であり、背番号10を託された谷川は冷静に敗因を分析し、同時に「運動量などもっと磨かないといけないし、これから自分自身から逃げずに課題解消のために全力で取り組みたい」と、意欲と固い決意を口にし、この敗戦からの巻き返しに引き締まった表情を見せた。
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 そして、失点に絡む形となってしまった昨年からの不動のレギュラーであり、キャプテンマークを巻く小沼も顔を上げていた。ミックスゾーンでの取材対応前に引き上げてくる帝京長岡の選手と握手を交わし、自身がクリアしきれなかったパスを出した柳田には、自ら歩み寄ってエールを送っていた。

「結果を見ての通り、前線の得点力はもっと磨いていかないといけないですが、それ以上に失点ゼロでいかないと勝てません。あの失点は完全に僕の責任ですし、ディフェンダーとしてのスキル、対人面や人を動かす守備の面でもっとレベルアップしないといけないと感じました。あと、キャプテンとしても成長が足りないと思います。これから選手権とプレミアを取るためには、そこから逃げないでやりたい」

 谷川と同様に結果に対して一切他責にすることなく、自分自身にベクトルを向けて、この敗戦を受け止めながら決意を固めている。その背中を押したのは、試合直後の指揮官の言葉だった。

「もっと強くなろう。相手の方が勝利に値するチームだった。もう一度謙虚さを持ちながら、もう二度とこんな悔しい思いをしないように戦って行こう」

 実力と経験、そして伝統があるチームが足元をしっかりと見つめてリスタートを切る。これがどういうことを意味するか。それはこれからの彼らの戦いぶりで実証されていくだろう。

『脚下照顧(きゃっかしょうこ)の精神』は青森山田をより逞しくしていく。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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