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高岡伶颯の言葉を胸に刻んで――2戦連発で3得点。日章学園の1年生ストライカー吉崎太珠の恩返しと成長は序章に過ぎない【総体】

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2024年07月29日

もはや代役ではなく、頼りになる存在に

抜群の決定力で勝利に貢献している吉崎。大会の主役候補の1人だ。写真:安藤隆人

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[インハイ2回戦]日章学園 3-2 鹿島学園/7月28日/ハワイアンズスタジアムいわき

 今夏のインターハイ前、日章学園に大きな激震が走った。サウサンプトンに加入が内定しているこの世代屈指のアタッカー・FW高岡伶颯と、ポストプレーと巧みなフィニッシュワークを得意とする水田祥太朗の3年生FWが共に負傷してしまった。2人ともベンチ入りはしているが、水田は今大会のプレーは不可能で、高岡も厳しい状況だ。

 かなりの危機的状況となったと思われたが、「ピンチこそチャンス」と言わんばかりに2人に代わってスタメン出場したMF吉崎太珠(1年)とFW佐久川友杜(3年)が、2回戦までに出色のプレーを見せてチームを活気づけている。

 なかでも1年生の吉崎は今、大会の主役の1人に躍り出ようとしている。1回戦の鵬学園戦、0-1で迎えた後半7分にMF有働嵩常(3年)の左からのクロスにドンピシャヘッドで合わせ、チームのオープニングゴールをマーク。後半アディショナルタイム1分に勝ち越され、万事休すかと思われた同6分に再び有働からの左クロスを中央で受けて、冷静に値千金の同点弾を蹴り込んだ。

 PK戦の末に勝利し、迎えた2回戦の鹿島学園戦でも、前半6分にMF小峠魅藍(3年)のクロスを頭で押し込んで口火を切ると、そこからチームは前半だけで3ゴールを奪った。後半は鹿島学園の猛攻に遭い、1点差まで詰め寄られるが逃げ切って3回戦進出を果たした。

 2戦連発となる3ゴール。得意のポストプレーで起点を作るだけではなく、パスセンスに秀でて周りをうまく活用しているからこそ、ボールを叩いた次のプレーで得点ができるポイントに良い形でランニングできている。そこに周りから質の高いラストパスが供給される。

 チームに好循環を生み出し、かつ結果を出す1年生ストライカー。彼の活躍の裏側にあるのは、持っている才能はもちろん、憧れの先輩たちへの感謝の心だった。
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「僕の周りには本当に上手くて、鼓舞してくれる先輩たちがいます。今日(鹿島学園戦)だとワントップの僕の後ろには佐久川君と矢野(瑛大、1年)がすごく走ってくれたので、僕は彼らが明けたスペースにボールを受けに行って、前を向いてどんどんラストパスを出すことを意識できました。

 ゴールシーンも先輩たちが、あとは決めるだけの良いボールをくれたからこそ。伶颯君と祥太朗君も悔しい思いがあるなかでも、僕にアドバイスをくれたり、鼓舞してくれたりするなど、周りのおかげで今、自分がこうしてプレーできていると思っています」

 1年生とは思えないしっかりとした口調で、自分の気持ちを口にする吉崎には、大会前に高岡から言われた言葉が胸に刻まれている。

「自分にできるのか不安もあったのですが、伶颯君が『1年生らしく、ミスしてもいいから思い切ってプレーしてほしい』と励ましてくれましたし、『守備は絶対に誰よりも走ってほしい。絶対にできるから』と鼓舞してくれました。

 僕は伶颯君のようになりたいと思っているので、常にチームのために誰よりも走って周りを助けて、かつ大事なところでゴールを決める存在になるために。何より周りの人たちの思いに応えるために、1年生らしくすべてを出し切るつもりでやらないといけないと思っています」

 もはや代役ではなく、頼りになる1年生ストライカーとして前線に君臨する吉崎の恩返しと成長は、まだまだ序章に過ぎない。まずは「先輩たちと一緒にもっと上のステージに行きたい」と、今大会でのさらなる躍進と、日章学園の将来を誓って次なる相手・静岡学園との大一番に臨む。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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