グループステージから全勝での欧州制覇は史上初の快挙で、ラ・ロハに再び黄金期が到来する――。そんな期待を抱かせる優勝だった。
そのスペインの最強時代と言えば、やはりメジャータイトル3連覇を成し遂げた2000年代後半~2010年代前半だろう。原動力となったのは、2つの黄金世代だ。美しいフットボールで世界を魅了した無敵艦隊の大航海は、いかにして始まったのか――。
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ちょっとした波風にも耐えられなかった“張りぼての無敵艦隊”が、まさか本当に世界を従えるまでの大艦隊になろうとは、少なくとも2000年代前半までは想像すらできなかった。
大航海時代の始まりは、08年のEUROだった。4年前のEURO2004はグループステージ敗退、2年前のドイツ・ワールドカップ(W杯)は16強止まり。良質なタレントを揃えながらベスト8の壁を破れず、“永遠の優勝候補”とも揶揄されていたスペイン代表が、疾風のようにトーナメントを勝ち上がり、44年ぶりにヨーロッパを制したのだ。