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公式戦5試合ぶりのスタメンで一発回答!“静学10番”山縣優翔が8強に導く決勝弾も「奪う技術はまだ足りない」と慢心なし【総体】

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2024年07月30日

先発落ちの理由は明らか。守備に課題

日章学園戦で決勝点を挙げた山縣。写真:安藤隆人

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[インハイ3回戦]静岡学園 2-1 日章学園/7月30日/JヴィレッジP1

 静岡学園の10番のプライド、そしてこれまでの思いを込めて放ったシュートがチームを勝利に導いた。

 インターハイ3回戦の日章学園戦。1-1で迎えた後半10分、2年生ボランチの山縣優翔はカウンターからMF原星也(3年)のシュートのこぼれ球に反応すると、寄せて来たDFよりも一瞬早く右足を振り抜いてゴールに突き刺した。

「シュートの意識も強く持っていたので、自然と身体が動きました。チームのみんなで一戦必勝を目標にしていて、この一戦にかける思いは相当強かったので、勝利につなげることができて良かったです」

 そう語る彼の表情は緩んでいなかった。その理由は次に続いた言葉に如実に表われている。

「この試合で完全にアピールできたか、信頼を得ることができたかというと、そうではありません。終盤にバテてしまってプレスが甘くなってしまったし、プレーの質が落ちてしまったので、そこは反省しかありません」

 実は山縣にとってこの試合は、インターハイデビュー戦であった。1回戦、2回戦は一度も出番が回ってこなかった。

「こうなることは少し覚悟していました」と語ったように、直近のプレミアリーグWESTでもスタメン落ちを経験していた。

 それは6月30日のプレミアWEST第10節の大津戦のことだった。これまではスタメンが多く、ベンチスタートでも必ず途中から出場していたが、この試合でリーグ初の出番なし。続くインハイ前最後の試合となった第11節の鹿児島城西戦も、後半アディショナルタイムのみの出場だった。

「理由は明らかでした。堀川(隼)選手がボランチのスタメンで出場していたのですが、堀川選手は守備がうまくて、個でボールを奪うことができる。僕は守備面で大きな課題があって、特に個のボール奪取は決定的に足りない。それが信頼を得られなかった理由だと思ったので、もう一度自分を見つめ直そうと思った」
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 怪我でもなく、シンプルに実力不足でのスタメン落ち。すぐに現実を受け止めた山縣は、長所である的確な予測をベースにしたパスセンスとボールキープ力は継続して磨きながらも、その予測力を守備でも活かせるように、普段のトレーニングから先回りしてスペースを埋める動きを意識。球際の守備も意欲的に取り組んだりと、課題解消に全力を尽くした。

 その際に活用したのがベンチにいる時間だった。

「試合に出ていると、どうしてもピッチでの現象やプレーを主観でしか見られませんが、ベンチからだと客観的に見ることができる。『この展開だとここがフリーになるんだ』とか、『逆サイドが空いているな』など、今まで気づかなかったスペースや、パスを出すべきタイミングなどに気づくことができました」

 どんどん蓄積されていく情報。日々の練習でその情報を元にプレーで還元し続けたことで、ついにチャンスが巡ってきた。

「昨日の練習で『スタメンあるかも』と思って準備して臨みました」

 公式戦5試合ぶりのスタメン。ピッチ中央に逞しくなって帰ってきたことを山縣はプレーで表現し、冒頭で触れた通り決勝弾を叩き込んだ。

「奪う技術はまだまだ足りない。でも以前と違うのは、少しだけ避けていた課題に真っ向から向き合おうとする自分の意識。この試合で掴んだ自信と、改めて感じた課題を大事にして、もっと周りからの信頼を掴めるように頑張っていきたいと思います」

 次なる相手は、ここまでの3試合で21ゴール・無失点と驚異の数字を叩き出している神村学園。静岡学園の背番号10は、スタメンだろうが途中出場だろうが、2戦連発と守備への貢献を胸に誓って、同じプレミアWESTで戦うライバルとの決戦に挑む。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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