連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】生真面目な日本人が見せた巧妙なリズムの変化

カテゴリ:日本代表

熊崎敬

2016年03月25日

日本は後半、頭を使って複雑に絡まった糸をほどこうとした。

この長友や岡崎が絡んだパス回しから緩急の変化でチャンスを作った後半の日本。機転の利いた攻撃は今後に期待を抱かせる。 (C) SOCCER DIGEST

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 5ゴールが決まったアフガニスタン戦について、ハリルホジッチ監督は「美しい勝利」と自賛した。だがサッカーに集中できない相手の国情を考えれば、「順当勝ち」が妥当ではないだろうか。
 
【PHOTOハイライト】日本 5-0 アフガニスタン
 
【アフガニスタン戦】サッカーダイジェストの採点&寸評

 対戦相手のメンバー23人の中には、所属クラブのない選手が4人もいた。日本代表では考えられないことだ。
 
 アフガニスタン戦に続き、火曜日には「IS」で揺れるシリアとの対戦。アジア予選は自分たちの代表チームがしっかりと活動できて、それをホームで応援できるという「当たり前の幸せ」を実感する機会でもある。
 
 さて、日本のゴールの4つは相手の体力が落ちた後半に生まれた。アフガニスタンが元気だった前半、日本は圧倒的に攻めながら1点しか決めていない。
 
 前半の拙攻について指揮官は「選手が上手くやりすぎようとして、速いパスを出しすぎていた」と述べたが、苦戦の要因は他にもある。
 
 日本はペナルティエリアを包囲してアフガニスタンを攻め立てたが、大勢で攻めると敵は当然、ゴール前に密集する。その中で素早くパスをつなごうとすると、敵に引っかかったり、ズレが生じる可能性が高くなるからだ。
 
 対戦相手が格下になると、こういう厄介な展開になることは珍しくない。しかも日本はポストプレーやミドルシュートが得意ではないため、手詰まりになりやすい。
 
 それでも日本は後半、4点を決めた。それはアフガニスタンが疲れたことだけが理由ではない。
 
 攻めすぎて自分でゲームを難しくしてしまった日本は後半、頭を使って複雑に絡まった糸をほどこうとした。それが見て取れたのが、61分のプレーだ。
 
 アフガニスタンの攻めを受けた日本はGK東口にボールを戻し、最後尾からゲームを組み立て直そうとした。東口から森重、森重から長友、さらに前線から下がってきた岡崎へとパスがつながる。
 
 縦に急いだ前半とは違う、中盤でのゆったりとしたパス交換。これに自陣を固めていたアフガニスタンの面々が食いついてきた。すると日本はパスのテンポを一気に上げ、大きく空いたスペースに長友が駆け出したのだ。
 
 長友のクロスはゴール前で弾き返されたため、このチャンスは得点にはつながらなかった。だが、この緩急の変化、スペースの作り方は見事だった。
 
 日本人は生真面目なせいか試合運びが一本調子になりやすいが、機転の利いた攻撃もできるのだ。こうしたプレーがシリア戦でも見られると、この先が楽しみになる。
 
取材・文:熊崎敬
 
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