ルーツのクラブに留まる兄と、渡り歩いて大記録を樹立した弟。

兄弟ともに現在は、リーダーとしても所属チームに貢献し続けている。写真:寿人(第3節・湘南ベルマーレ戦)/佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部) 勇人(2015年時)/ (C) Getty Images

2006年8月16日のアジアカップ予選イエメン戦では、オシムジャパンの一員として共にプレー。双子の同時出場はA代表史上初のことだった。写真は試合前 (C) SOCCER DIGEST
◇佐藤寿人&勇人:1982年3月12日生まれ 埼玉県春日部市出身
3月6日に行なわれたJ1リーグ第2節の名古屋グランパス対サンフレッチェ広島戦で、佐藤寿人はJ1通算158点目となるゴールを挙げ、中山雅史が保持していた最多記録を更新した。
試合後は「それよりも勝てなかったことが悔しい(1-1の引き分け)」と語りながら、「これからもFWとしてゴールを奪えるよう努力していきたい」とさらなる記録更新への意欲を示した佐藤。そんな彼の得点力の高さについて、ある選手が以前にこう語っていた。
「スピード、高さ、爆発的なシュート力はないから、ペナルティエリアのなかでワンタッチで合わせる。そのスタイルは昔から全く変わっていない。小さい頃から、その練習とイメージを繰り返していた」
“ある選手”とは佐藤勇人。ジェフユナイテッド千葉のMFで、寿人の二卵性双生児の兄である。誰よりも近い位置で実弟を見てきた彼は、「(寿人が)数年前からゴンさん(中山)の記録を抜くのは間違いないと分かっていた」とも語っている。
「記録達成後は忙しくなると思うので、落ち着いたらまた一緒にご飯を食べに行きたいですね」と弟を気遣った優しい兄。現在は違うクラブで奮闘するが、常に互いを気にかけ合い、頻繁に連絡を取り合うなど、仲の良さは昔と変わりがないという。
一緒に生まれてきたふたりは、プロデビューまでの道のりにおいても、共に歩んできた。幼い頃から一緒にサッカーに興じ、ジェフ市原(当時)ユースに所属するために千葉県に移り住み(これは家族全員で)、2000年、一緒にトップチーム昇格を果たした。
もっとも、ポジションは兄がMF、弟がFWであり、性格も違う。そして2002年に寿人がセレッソ大阪にプレーの場を移したことで、初めて兄弟は離れてそれぞれの道を歩むこととなった。
以降、京都サンガに所属した08~09年以外は千葉でキャリアを過ごす勇人。一方、寿人はC大阪の後、ベガルタ仙台(03~04年)を経て現在は広島でエースに君臨し、このクラブでリーグ優勝(J1、J2の両方)、リーグMVP、得点王(J1、J2の両方)など、数々のタイトルと栄光を手にした。
今日で共に34歳。サッカー選手としては大ベテランの部類に入りつつあるが、その経験と技術は大きな財産であり、ともに所属クラブを勝利に導こうという気持ちが少しも萎えることはない。
このように注目の佐藤兄弟だが、寿人が所属する広島には、和幸(兄)&浩司(弟)の森崎兄弟という双子もおり、和幸は99年にデビューを果たしている(浩司は2000年)。
国内では他に、兄・陸(C大阪)、弟・力(名古屋)の松田兄弟などの双子がJリーグでプレーしているが、海外に目を向けると、香川真司のドルトムントでのチームメイトであるスベン・ベンダーの双子の兄は、レバークーゼンのMFラースである。
過去を振り返ると、ヴィリー(兄)とレネ(弟)のファン・デ・ケルクホフ兄弟は黄金期のオランダ代表に名を連ね、74、78年のワールドカップにも出場。またオランダといえば、フランク(兄)とロナルド(弟)のデブール兄弟も90年代中盤以降、アヤックス、オランダ代表、バルセロナなどで活躍した。
南米では、ギジェルモ(兄)とグスタボ(弟)のバロスケロット兄弟が90年代後半以降、ボカで南米&世界王座(トヨタカップでレアル・マドリーを撃破!)など数々のタイトルを獲得しており、共に名選手として記憶されている。
先日、リオデジャネイロ・オリンピック出場を決めたU-23代表の手倉森誠監督も双子であり、五戸高校時代には、現在はナショナルトレセンで指導にあたっている弟の浩とともに高校選手権出場を果たし(ベスト8入り)、「手倉森兄弟」として話題にもなった。
サッカー界でも続く双子の系譜。次の新たなツインズの登場が楽しみである。
3月6日に行なわれたJ1リーグ第2節の名古屋グランパス対サンフレッチェ広島戦で、佐藤寿人はJ1通算158点目となるゴールを挙げ、中山雅史が保持していた最多記録を更新した。
試合後は「それよりも勝てなかったことが悔しい(1-1の引き分け)」と語りながら、「これからもFWとしてゴールを奪えるよう努力していきたい」とさらなる記録更新への意欲を示した佐藤。そんな彼の得点力の高さについて、ある選手が以前にこう語っていた。
「スピード、高さ、爆発的なシュート力はないから、ペナルティエリアのなかでワンタッチで合わせる。そのスタイルは昔から全く変わっていない。小さい頃から、その練習とイメージを繰り返していた」
“ある選手”とは佐藤勇人。ジェフユナイテッド千葉のMFで、寿人の二卵性双生児の兄である。誰よりも近い位置で実弟を見てきた彼は、「(寿人が)数年前からゴンさん(中山)の記録を抜くのは間違いないと分かっていた」とも語っている。
「記録達成後は忙しくなると思うので、落ち着いたらまた一緒にご飯を食べに行きたいですね」と弟を気遣った優しい兄。現在は違うクラブで奮闘するが、常に互いを気にかけ合い、頻繁に連絡を取り合うなど、仲の良さは昔と変わりがないという。
一緒に生まれてきたふたりは、プロデビューまでの道のりにおいても、共に歩んできた。幼い頃から一緒にサッカーに興じ、ジェフ市原(当時)ユースに所属するために千葉県に移り住み(これは家族全員で)、2000年、一緒にトップチーム昇格を果たした。
もっとも、ポジションは兄がMF、弟がFWであり、性格も違う。そして2002年に寿人がセレッソ大阪にプレーの場を移したことで、初めて兄弟は離れてそれぞれの道を歩むこととなった。
以降、京都サンガに所属した08~09年以外は千葉でキャリアを過ごす勇人。一方、寿人はC大阪の後、ベガルタ仙台(03~04年)を経て現在は広島でエースに君臨し、このクラブでリーグ優勝(J1、J2の両方)、リーグMVP、得点王(J1、J2の両方)など、数々のタイトルと栄光を手にした。
今日で共に34歳。サッカー選手としては大ベテランの部類に入りつつあるが、その経験と技術は大きな財産であり、ともに所属クラブを勝利に導こうという気持ちが少しも萎えることはない。
このように注目の佐藤兄弟だが、寿人が所属する広島には、和幸(兄)&浩司(弟)の森崎兄弟という双子もおり、和幸は99年にデビューを果たしている(浩司は2000年)。
国内では他に、兄・陸(C大阪)、弟・力(名古屋)の松田兄弟などの双子がJリーグでプレーしているが、海外に目を向けると、香川真司のドルトムントでのチームメイトであるスベン・ベンダーの双子の兄は、レバークーゼンのMFラースである。
過去を振り返ると、ヴィリー(兄)とレネ(弟)のファン・デ・ケルクホフ兄弟は黄金期のオランダ代表に名を連ね、74、78年のワールドカップにも出場。またオランダといえば、フランク(兄)とロナルド(弟)のデブール兄弟も90年代中盤以降、アヤックス、オランダ代表、バルセロナなどで活躍した。
南米では、ギジェルモ(兄)とグスタボ(弟)のバロスケロット兄弟が90年代後半以降、ボカで南米&世界王座(トヨタカップでレアル・マドリーを撃破!)など数々のタイトルを獲得しており、共に名選手として記憶されている。
先日、リオデジャネイロ・オリンピック出場を決めたU-23代表の手倉森誠監督も双子であり、五戸高校時代には、現在はナショナルトレセンで指導にあたっている弟の浩とともに高校選手権出場を果たし(ベスト8入り)、「手倉森兄弟」として話題にもなった。
サッカー界でも続く双子の系譜。次の新たなツインズの登場が楽しみである。