日本はアジアカップの初戦で、ベトナムに４－２で勝利した。

　森保ジャパンにとって、ベトナムは勝って当たり前の相手と言っていいくらい、両チームの間には大きなレベルの差があった。

　ベトナムを率いるのは、かつて日本代表を指揮したトルシエ監督だ。パリ・オリンピックやその先を見据えてか、積極的に若い選手を起用しているけど、チームは現時点でまだアジアのトップを争う水準までは来ていないと感じた。

　グループステージを首位ではなく、２位か３位で通過しようとしているように見えるくらい、守備的な戦いぶりだった。ボールを持っても、ディフェンダーの３人で回すばかりで攻撃的な姿勢に欠けた。

　コーナーから奪った１点目はスーパーゴールだった。フリーキックからの見事な折り返しで生まれた２点目と、複数得点を挙げたけど、勝ちに来ている感じではなかった。

　日本は勝点３を掴んだものの、課題が出た。攻撃では、サイドアタックが機能していなかった。右で先発した伊東は本来のキレがなく、菅原も本調子に見えなかった。左の中村はゴールを決めて結果は残したけど、突破力は物足りなかった。
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　守備では、セットプレーからの２失点は見逃せない。１点目はともかく、２点目は高さが武器のディフェンダーへのマークが甘かった。グループステージでは問題ないかもしれないけど、決勝トーナメントでは命取りになりかねない。

「初戦は難しい」というフレーズを引用し、何となく納得してしまう風潮もあるけど、それ言い訳にしてはいけないと思う。初戦なのは相手も同じで、条件は一緒だからね。

　２得点の南野の出来は良く、一番目立っていた。ハーフタイムで交代した細谷は、敵のコンパクトな守備の中で孤立気味だった。相手が疲れた後半はスペースがあったから、細谷に代わって途中出場した上田は良く見えたけど、シチュエーションの違いを考慮する必要はあるだろう。

　次の相手はイラクだ。FIFAランキングでは63位で17位の日本からすると、ベトナム戦と同様、“勝って当たり前”のゲームにしたい。グループステージでは最も手ごわい相手かもしれないけど、結果、内容ともに求めたいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後（せるじお・えちご）／1945年７月28日生まれ、78歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部（現・湘南ベルマーレ）で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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