90分のゲーム終了を知らせるホイッスルが鳴った瞬間、20年のサッカープレーヤー人生の終了となった彼の顔は意外にも晴れやかだった。

　アルビレックス新潟シンガポールに所属する李忠成は以前のインタビューで「選手としてやることはやり切った」と言っていたように、引退という日が来ることを覚悟していたからなのだろう。

　シンガポールカップ予選リーグ最終戦となるタンピネス戦。勝てば決勝トーナメント進出、負けか引き分けならグループリーグ敗退＝現役最後の試合という状況の中、李忠成はスタメンに名を連ねた。

　この試合が現役プロ選手生活500試合目というメモリアルなゲームということで、試合前にはセレモニーもあり、会場に集まったファンももちろん選手も、試合に勝って決勝まであと２試合、引退が伸びることを期待していた。
 

　前半から、李忠成を中心に優位に試合を進めるアルビレックス新潟シンガポール(ANS)だったが、決定的な場面は両チームとも作れず0-0で折り返す。

　ゴールが欲しいANSは後半に入ってからも積極的にゴールに迫ると、68分コーナーキックからDF川地功起のヘディングシュートで、試合の均衡を破る。

　このまま終われば逆転で決勝トーナメントに進出するANSだったが、79分に自陣ペナルティエリア内で相手選手を倒し、タンピネスにPKを与えてしまう。

　これを相手に決められてしまう。

　決勝トーナメントに進むにはゴールが必要なANSは、更に攻勢に出るがなかなか決定機を作れず。80分には交代した小松慧に代わってキャプテンマークを付けた李忠成だったが、最後までタンパネスのゴールを割れず、1-1のままタイムアップ。

　ANSはグループリーグを突破できず今シーズンの戦いは終了し、李忠成の長きに渡るサッカー人生も幕を閉じた。

　李忠成は引退後に解説者やコメンテーターとして活動。また、彼は全国各地での交流の場にも積極的に参加することが予想される。彼の人柄やプレースタイルは多くの人々に影響を与えてきたように、今後、サッカー界で彼がどんな存在になるのか大いに注目される。

　その経験と情熱が、サッカー界に新たな可能性をもたらすはずである。

構成●サッカーダイジェスト編集部

【PHOTO】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し！Jリーグコレオグラフィー特集！

【PHOTO】編集部が厳選！ ゲームを彩るJクラブ”美女チアリーダー”を一挙紹介！

「俺はもうサッカーは一切見ない」中田英寿が指摘する現代フットボールの問題点「分かっていない人が多い」