ライバルの存在を認め、リスペクト
意地の一撃だった。選手権の神奈川県予選決勝、1-0で勝利した日大藤沢の2連覇を決めたのは、3年生ボランチ・荻原大地の右足だった。
そのシーンは20分にやってきた。MF諸墨清平がディフェンスラインの裏のスペースに浮き球のボールを送り込むと、落下地点には1トップの山上大智がいた。
「山上がそらしてくれると思った」と荻原は山上を追い越す形で前に出た。そこに狙い通りボールが来ると、桐蔭学園のGK神保颯汰は前に出て、相手DFは身体で荻原をブロックしようとした。
すると荻原はGKとDFの間に足をねじ込むようにして右足アウトフロントでボールを下から上に叩いた。荻原の執念が乗り移ったボールはGKの頭上を超えて、バウンドしてゴールに吸い込まれた。
「多分、公式戦初だと思います」と本人も驚いたように、このゴールが値千金の決勝弾となった。
「普段、得点に絡むことが少ないなかで、自分が決められたので嬉しいです。それに僕は後ろの選手なので、無失点で終えたことが嬉しいです」
試合後、荻原はこう喜びを口にした。攻守に渡る活躍は、強い決意表明でもあった。彼は今、激しいポジション争いの最中にいる。ボランチにはU-17日本代表の布施克真、キャプテンで精神的支柱でもある佐藤春斗がいる。
もちろん荻原も抜群の運動量を誇り、守備センスと後ろからの組み立てには定評がある。昨年からメンバーに絡んでいたが、選手権の1週間前に後十字靭帯の怪我で、全治3か月の診断。選手権はサポートメンバーという形で終わってしまった。さらにチーム立ち上げにも出遅れる形となり、その間に布施と佐藤がスタメンの座を掴んだ。
関東大会、インターハイ予選でスタメンを奪い返し、ベスト4に食い込んだインターハイでは1、2回戦は布施と佐藤がスタメンを張り、ベンチスタートとなったが、3回戦以降は布施からレギュラーの座を奪い取った。
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「山上がそらしてくれると思った」と荻原は山上を追い越す形で前に出た。そこに狙い通りボールが来ると、桐蔭学園のGK神保颯汰は前に出て、相手DFは身体で荻原をブロックしようとした。
すると荻原はGKとDFの間に足をねじ込むようにして右足アウトフロントでボールを下から上に叩いた。荻原の執念が乗り移ったボールはGKの頭上を超えて、バウンドしてゴールに吸い込まれた。
「多分、公式戦初だと思います」と本人も驚いたように、このゴールが値千金の決勝弾となった。
「普段、得点に絡むことが少ないなかで、自分が決められたので嬉しいです。それに僕は後ろの選手なので、無失点で終えたことが嬉しいです」
試合後、荻原はこう喜びを口にした。攻守に渡る活躍は、強い決意表明でもあった。彼は今、激しいポジション争いの最中にいる。ボランチにはU-17日本代表の布施克真、キャプテンで精神的支柱でもある佐藤春斗がいる。
もちろん荻原も抜群の運動量を誇り、守備センスと後ろからの組み立てには定評がある。昨年からメンバーに絡んでいたが、選手権の1週間前に後十字靭帯の怪我で、全治3か月の診断。選手権はサポートメンバーという形で終わってしまった。さらにチーム立ち上げにも出遅れる形となり、その間に布施と佐藤がスタメンの座を掴んだ。
関東大会、インターハイ予選でスタメンを奪い返し、ベスト4に食い込んだインターハイでは1、2回戦は布施と佐藤がスタメンを張り、ベンチスタートとなったが、3回戦以降は布施からレギュラーの座を奪い取った。
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だが、準決勝の明秀日立戦ではハーフタイムに布施と交代を告げられ、そこからも激しいポジション争いを繰り広げた。そして今回の予選では、布施がU-17ワールドカップのメンバーに選出され、インドネシアに渡ったことから、佐藤と不動のコンビを組んだ。
「布施は絶対に成長して戻ってくるので、かなり危機感があります」
ライバル心と危機感をたぎらせていたからこそ、決勝での活躍につながった。もちろん、持っているのはライバル心だけではない。
「でも、布施からはいつも良い刺激をもらっていて、ボールを動かすところとか、自分がないものを持っているので、学びにもなっています。もちろん佐藤も僕にないものを持っているので、負けていられません」
ライバルの存在を認め、リスペクトしたうえで闘志を燃やす。ある意味、荻原は素晴らしい環境に身を置けていると言っていい。この環境が彼の成長をさらに促し、向上心を高める。この輪廻が荻原の未来の可能性を広げていく。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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「でも、布施からはいつも良い刺激をもらっていて、ボールを動かすところとか、自分がないものを持っているので、学びにもなっています。もちろん佐藤も僕にないものを持っているので、負けていられません」
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