［北中米ワールドカップ・アジア２次予選］日本 ５－０ ミャンマー／11月16日／パナソニックスタジアム吹田

　５－０で大勝したミャンマー戦で、前川黛也（ヴィッセル神戸）は大迫敬介（サンフレッチェ広島）と代わり、81分から出場。ようやくA代表デビューを果たした。

　初めて森保ジャパンから声が掛かったのは2021年３月。同じGKとして活躍した父親の和也氏に続き、招集を受けたが、出番は与えられなかった。

　それから２年半が経った今年10月、久々の復帰を果たした。その際、「こういう場所に来て、凄く偉大だなと感じることは、この代表で試合に出るところ。お父さんの場合は何試合も重ねていて、本当に凄いなと感じています。僕自身もそこを目ざしてやっていきたい」と強い意気込みを示すも、怪我で離脱を余儀なくされた。

　それでも――悔しさを胸に努力を重ね、三度代表入りを果たし、ついに尊敬する父親と同じ舞台に立った。

　日本が攻め続けていたため、ボールに１度も触らずに終わったものの、最後尾からの指示で存在感を発揮した29歳の守護神は、「ピッチに立って、重圧を感じましたし、その中で父親はずっと何試合もプレーしてきたのを考えると、本当に凄いことだなと肌で感じました」と充実の表情だ。手応えを次のように示した。
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「本当に素直に、代表で日の丸を背負ってピッチに立てたことは凄く嬉しいです。ノータッチではあったんですけど、触らないところ以外でも貢献できることはたくさんあるので、そこは意識して、しっかり無失点で終えられるよう努めました。（声掛けは）リスク管理のところ。ああいう状況こそ、事故だったりもあって、油断できないので。しっかり僕から声を掛け続けることが大事だと思って、声を掛け続けました。

　欲を言ったら、しっかりシュートを止めるとか、そういうところでの貢献はやっぱりしたいのはもちろんなんですけど、こういう試合でも、触らなくても声を出し続けたりとか。難しい試合ではあるので、どんな形であれ勝利に貢献することが大事だと思います。そこに貢献できたのは良かったです。

　呼ばれても出られなかったり、離脱してしまったところはあったんですけど、それも僕の実力ですし。でも、やっぱり代表を目ざすところや、代表で試合に出るっていうのを目ざし続けた結果、ピッチに立てたと思うので、そこは自信を持って、自分を誇らしく思いますし。これからもそれに満足せずに、もっともっと貢献できるように頑張りたいです」

　事前に交代の可能性が伝えられていたわけではなく、「試合中にアップのところに呼ばれて、そこからアップして呼ばれた感じ」だという。

「（コーチからは）セットプレーの確認とか、あとは『頑張れ』と、仲間に声を掛けられながらピッチに入りました。さっきも言ったんですけど、どんな状況であれ難しい試合でもあるので、そこは集中して入りました」

　ヴィッセル神戸は現在J１首位を走り、悲願の初優勝まであと一歩のところにいる。最後に「今日のプレーが優勝争いに活かせそうか」と尋ねると、前川は力強くこう答えた。

「そうですね。こういう緊張感がある中でプレーできたのは、チームに還元できる。これからもそういう緊張感がある中でもプレーできるように、もっともっとやっていきたいです」

取材・構成●有園僚真（サッカーダイジェストWeb編集部）

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