キャンプから取り組む高い位置からのボール奪取。ACLのシドニー戦でひとつの成果を示す。

浦和の2016年シーズン基本布陣。システムは従来の3-4-2-1だが、高い位置からのプレスを志向した新しい"ミシャスタイル"が見られるはずだ。

ズラタンは興梠が君臨してきたCFのレギュラーの座を掴めるか? ズラタンと興梠の共存も今季のテーマのひとつ。 写真:サッカーダイジェスト写真部
【プレシーズンを通じての収穫と課題は】
浦和がキャンプ中に重点的に取り組んでいたのが、高い位置からのプレッシングと、ボールを奪えればそのまま畳み掛けるショートカウンターだ。
ミシャことペトロヴィッチ監督が率いる4年間で、パスをしっかり回しながら敵陣にできた間隙を突くポゼッションスタイルは浸透。昨季はクラブ史上2位の69ゴールを奪ってみせた。そこに相手に襲い掛かる「怖さ」を加えるため、ボール奪取も“攻撃的”に行くという狙いだ。
指宿2次合宿の練習試合では「もっと深い位置まで追っていいぞ」と森脇が声を掛け、自身も高い位置まで駆け上がってプレスをかけるシーンも見られた。関根も「中途半端ではなく、思い切ってプレスを掛けに行っている。そうやって課題が出れば、みんなで話し合って解決していく時期だから」と話していた。
2月24日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の1節・シドニー戦では、阿部や槙野が高めにラインを設定するように、周りに大きな声を掛ける場面が何度もあった。永田が躊躇わずにボールホルダーに襲い掛かり、高さでも圧倒。8分の武藤の先制ゴールは、サイドから仕掛けたボランチの青木が、高い位置でこぼれ球を拾って梅崎にパス。その梅崎のクロスがゴールにつながった。
シドニー対策で守備時、CBに近い位置でプレーしていた槙野は、次のように課題と収穫を語った。
「理想はもう少し前からハメていければ(1対1でしっかりマークにつく)。ただ、前線と最終ラインで、意識を共有しながら出来ていたのは良かった点に挙げられる」
襲い掛かる時には、思い切って行くという狙いは確かに感じ取れた。この“ミシャプレス”の取り組みにより、永田の前を向い守備の強さ、武藤の縦に仕掛ける推進力、宇賀神や関根の積極性などが引き出されていた。
一方、その戦術のテーマである手薄になる最終ラインやその背後を突かれる危うい場面も散見された。その点で、試合終盤に4バックにして守備を固めて試合を終わらせたのは、これまでのペトロヴィッチ監督にはなかった采配であり、“今季は締める時は、しっかり締める”というメッセージも込められていた。
とはいえ、助っ人や主力を欠いたシドニーは明らかにJの上位陣よりも実力的に劣っていた。現在シーズンの真っ只中という点でシドニーに多少の分があった程度で、ある意味、浦和にとっては試運転や腕試しをするには、ちょうど良い相手だったと言える。
そのうえで、ペトロヴィッチ監督は「これまでACLは初戦を落とし、そのままグループステージで敗れてきた。今回、勝利を収めたことで、3日後の(Jリーグ開幕の)柏戦をはじめ、ポジティブなサイクルを描けるのではないかと思う」と話した。
怪我明けの那須、興梠、柏木をこの重要な一戦でスタメンから外すなど、指揮官はチーム内の競争も煽る。そういった点を含めて「ポジティブ」に、柏戦を迎えられそうだ。
浦和がキャンプ中に重点的に取り組んでいたのが、高い位置からのプレッシングと、ボールを奪えればそのまま畳み掛けるショートカウンターだ。
ミシャことペトロヴィッチ監督が率いる4年間で、パスをしっかり回しながら敵陣にできた間隙を突くポゼッションスタイルは浸透。昨季はクラブ史上2位の69ゴールを奪ってみせた。そこに相手に襲い掛かる「怖さ」を加えるため、ボール奪取も“攻撃的”に行くという狙いだ。
指宿2次合宿の練習試合では「もっと深い位置まで追っていいぞ」と森脇が声を掛け、自身も高い位置まで駆け上がってプレスをかけるシーンも見られた。関根も「中途半端ではなく、思い切ってプレスを掛けに行っている。そうやって課題が出れば、みんなで話し合って解決していく時期だから」と話していた。
2月24日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の1節・シドニー戦では、阿部や槙野が高めにラインを設定するように、周りに大きな声を掛ける場面が何度もあった。永田が躊躇わずにボールホルダーに襲い掛かり、高さでも圧倒。8分の武藤の先制ゴールは、サイドから仕掛けたボランチの青木が、高い位置でこぼれ球を拾って梅崎にパス。その梅崎のクロスがゴールにつながった。
シドニー対策で守備時、CBに近い位置でプレーしていた槙野は、次のように課題と収穫を語った。
「理想はもう少し前からハメていければ(1対1でしっかりマークにつく)。ただ、前線と最終ラインで、意識を共有しながら出来ていたのは良かった点に挙げられる」
襲い掛かる時には、思い切って行くという狙いは確かに感じ取れた。この“ミシャプレス”の取り組みにより、永田の前を向い守備の強さ、武藤の縦に仕掛ける推進力、宇賀神や関根の積極性などが引き出されていた。
一方、その戦術のテーマである手薄になる最終ラインやその背後を突かれる危うい場面も散見された。その点で、試合終盤に4バックにして守備を固めて試合を終わらせたのは、これまでのペトロヴィッチ監督にはなかった采配であり、“今季は締める時は、しっかり締める”というメッセージも込められていた。
とはいえ、助っ人や主力を欠いたシドニーは明らかにJの上位陣よりも実力的に劣っていた。現在シーズンの真っ只中という点でシドニーに多少の分があった程度で、ある意味、浦和にとっては試運転や腕試しをするには、ちょうど良い相手だったと言える。
そのうえで、ペトロヴィッチ監督は「これまでACLは初戦を落とし、そのままグループステージで敗れてきた。今回、勝利を収めたことで、3日後の(Jリーグ開幕の)柏戦をはじめ、ポジティブなサイクルを描けるのではないかと思う」と話した。
怪我明けの那須、興梠、柏木をこの重要な一戦でスタメンから外すなど、指揮官はチーム内の競争も煽る。そういった点を含めて「ポジティブ」に、柏戦を迎えられそうだ。