ついにパリ五輪出場を懸けたなでしこたちの熱き闘いが開幕した。

　現地10月26日、日本女子代表はタシケント（ウズベキスタン）でパリ五輪アジア予選の初戦を戦い、インド女子代表を７－０で下した。今回の２次予選で日本はインド、ベトナム、ウズベキスタンとＣ組で同居。１位なら文句なしで、２位なら他の２グループとのポイント比較で最終予選への切符を手にする。
【動画】16歳FWが軽やかなタッチから左足を一閃！ 五輪予選・タイ戦で先制点を決めるケーシー・フェア

　そんななか、最激戦区となっているのがＢ組だ。アジアカップ2022女王である中国に、同準優勝の韓国、そして久々の国際舞台となったアジア大会で銀メダルに輝いた北朝鮮が鎬を削る。もう１チームのタイにとっては、まさしく地獄のような組み分けだ。

　26日の初戦で大爆発したのが韓国。タイを相手に10－１と猛威をふるい、初の五輪出場に向けてコンディションの良さを窺わせた。そのゲームでハットトリックを達成したのが、FWケーシー・フェアだ。アメリカ人の父と韓国人の母を持つハーフで、生後まもなく韓国からアメリカに転居した。U-17韓国女子代表のエースとして活躍していた今年７月、Ａ代表のコリン・ベル監督がオーストラリア＆ニュージーランド共催の女子ワールドカップの登録メンバーにサプライズ選出。初戦のコロンビア戦で途中出場を果たすと、「16歳と26日」での出場は男女を通じたワールドカップ史上最年少の新記録となった。

　女子ワールドカップで３試合に出場して自信をつけたフェアは、アジア大会の招集が見送られ、今回の五輪予選で満を持して再合流。178センチの体躯を活かしたパワフルな突破とシュートが持ち味で、対戦では33分に振り向きざまの一撃で先制点を奪い、56分、66分にも得点を挙げてハットトリックを完成させた。「16歳と119日」での韓国女子代表初ゴールはMFチ・ソヨンの「15歳と282日」に次ぐ史上２番目の若さで、ハットトリック達成は史上最年少だ。

　いきなりのハイパフォーマンスを韓国メディアはこぞって手放しで称賛。『スポーツ朝鮮』は「フェアは韓国女子サッカーにとって悲願である五輪初出場に向けた秘密兵器だ。ワールドカップでも物怖じしなかったタフなメンタルをタイ戦でも発揮し、大勝の口火を切ってみせた」と持ち上げた。
 

　さらに『東亜日報』は「まさに次代のエースが輝きを放った。アジア大会でベスト８に終わって停滞していたチームのムードを変え、さっそく大きな助けとなりつつある」と絶賛。『聯合ニュース』は「アメリカでも将来を嘱望されていたが、フェアは韓国を選んでくれた。この日は21歳のチョン・ガラムもハットトリックを決めており、韓国女子代表の世代交代は順調に進んでいる印象だ」と伝えている。

　フェアは地元ニュージャージーのクラブでプレーしてきたが、現在は無所属。アメリカの女子プロサッカーリーグ（NWSL）の２クラブからオファーを受けており、現在はどちらを選ぶかを検討中だという。

　はたして韓国はライバルの北朝鮮、中国との壮絶バトルを制して最終予選プレーオフ（2024年２月24日＆28日）に駒を進められるのか。16歳フェアの活躍ぶりに注目だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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