【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のユナイテッドを振り返る vol.10~1999-00シーズン ~

カテゴリ:メガクラブ

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年02月16日

プレミアリーグでは最強を証明するも、各カップ戦では……。

ライバルのアーセナルに勝点差18の大差をつけてリーグ連覇を達成したユナイテッドは、プレミアにおいて無敵の強さを誇った。写真は優勝後のセレモニーで息子のブルックリンと戯れるベッカム。 (C) Getty Images

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プレミアリーグでは合わせて39点を荒稼ぎしたコール(上)とヨーク(下)。「デッドリー・ペア」と呼ばれた二人は、ライバルたちの脅威となった。 (C) Getty Images

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 前シーズンに三冠を達成したユナイテッド。その強さは、1999-00シーズンでも変わらず際立っていた。プレミアリーグは開幕から9戦負けなしと好スタートを切り、最終的に2位のアーセナルにプレミア記録となる勝点18差をつけて連覇を達成した。
 
 もっとも、欠点がなかったわけではない。開幕前に退団した守護神ペーター・シュマイケルの後釜には、アストン・ビラからの出戻りだったマーク・ボスニッチが入るも、役者不足感が否めかった。
 
 また、最終ラインはウェズ・ブラウン、ロニー・ヨンセンら主力が長期離脱を強いられたことで安定感を欠き、ユナイテッドには守備の不安が常につきまとうこととなった。
 
 しかし、そうした守備陣の不安を補ったのが、攻撃陣の躍動だった。
 
 2トップを組んだドワイト・ヨークとアンディ・コールの「デッドリー・ペア」は29得点を荒稼ぎし、スーパーサブのオレ・グンナー・スールシャールは15点、さらにロイ・キーンとポール・スコールズが12点を取るなど多彩な攻撃が光り、いまだ破られぬプレミア記録の総得点97を叩き出したのだ。
 
 国内で権勢を振るったユナイテッドはシーズン中の1999年11月、欧州王者としてトヨタカップに臨むために来日し、ブラジルの強豪パルメイラスと対戦した。
 
 当時のパルメイラスは、名将フェリペ・スコラーリに率いられ、ブラジル代表のアレックス、コロンビア代表のファウスティーノ・アスプリージャといった曲者揃いの強力な攻撃をウリにするチームだった。
 
 これを警戒したアレックス・ファーガソンは、中盤を分厚くする4-1-4-1の布陣に、守り勝つというメッセージを込めて、選手たちを国立競技場のピッチに送り出した。
 
 指揮官の指示通り、ユナイテッドの面々は35分のキーンによる虎の子の1点を最後まで守り抜き、英国勢として初の世界一に輝いたのだった。
 
 世界王者となったユナイテッドだが、このシーズンはさらにもう1つ、世界タイトル獲得の可能性があった。ブラジルで開催された「第1回FIFAクラブワールドカップ」の出場を求められたからだ。
 
 もっとも、ユナイテッドは当初、参加を拒否しようとしていた。しかしこれを辞退すれば、参加権が前シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)準優勝だったバイエルンに移ることとなる。
 
 当時、イングランドと2006年ワールドカップの開催権を争っており、FIFAに好印象を与えたかったFA(イングランド・サッカー協会)や英国政府にとって、それは避けたかった。そのため、ユナイテッドは泣く泣くブラジルへと飛び立ったのだ。
 
 連覇の懸かったFAカップを特例で放棄してまで出場したにもかかわらず、ヴァスコ・ダ・ガマやレアル・マドリーなど世界各国から集結した全8クラブによって争われたこの大会で、ユナイテッドはグループステージ敗退に終わった。
 
 FAカップを含め2つのタイトル獲得のチャンスをフイにしたユナイテッドだったが、一方で、クラブワールドカップ出場によって1月にリゾート地(リオデジャネイロ)でリフレッシュできたことが、後のプレミア独走につながったとも言われている。
 
 ちなみにチャンピオンズ・リーグでは、国内での圧勝による安堵で気が緩んだのか、準々決勝のR・マドリー戦で第1戦のアウェーマッチを0-0で乗り切りながらも、ホームで2-3の敗北……。連覇の夢は早々に潰えた。
 

開幕前に英国女王からナイト爵を授与されたファーガソン。「サー・アレックス」が誕生したのは、このシーズンからだ。 (C) REUTERS/AFLO

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