フランスで開催されているラグビーワールドカップ2023で珍プレーが生まれた。

　現地９月17日にニースで行なわれたプールＤの第２戦、日本代表vsイングランド代表の一戦だ。早朝の日本列島を大いに沸かせた大一番だったが、結果は日本が12対34で敗北。日本は１勝１敗で３位となり、残るサモア戦、アルゼンチン戦の２試合では連勝を収めたいところ。５チーム中上位２チームが決勝トーナメント（ベスト８）に進むレギュレーションとなっている。
【動画】日本戦でマーラーが頭でお膳立てした“珍トライ”をチェック！ TikTokではクリロナの顔を挿げ替えて…

　そのゲームでターニングポイントとなったのが、後半16分に訪れたイングランドの珍しいトライだった。13対12とわずか１点をリードする局面で猛攻を仕掛けると、フォードのパスをスチュワートがファンブルする。だが、そこに猛然と飛び込んできた巨漢のフォワードがボールをタッチ。球は前方のピッチに転がった。

　日本の選手たちは、手に当たったボールが前に落ちて取られる「ノックオン」の反則だと思い込んで、足を止めてしまう。ここで差が出た。イングランドの主将であるローズは集中力を切らさずにボールを拾い上げ、したたかにトライを決めたのだ。ビデオ判定の結果、ボールは巨漢フォワードの手や腕ではなく頭に当たっていた事実が判明。正式にトライが認められ、そこからイングランドは一気に波に乗った。

　偶発的なヘディングで殊勲の活躍をみせたのがプロップのジョー・マーラーだ。英メディアは試合直後からこぞって称賛したり、いじったりしてビッグプレーを取り上げた。過去の82試合の代表戦で、一度もトライはおろかトライアシストさえ記録してこなかった33歳も驚きを隠せない。そして試合後のインタビューでは、次のように明かして報道陣を笑わせた。

「あれはね、実のところ準備していたんだ（笑）。日本戦の前にもコールとジョージとヘディングの練習をしたよ。土曜日にロベルト・デ・ゼルビ率いる強豪シーガルズ（ブライトンの愛称）がオールド・トラフォードでマンチェスター・ユナイテッドを叩きのめしたろ。あれにインスピレーションを得て、実際の試合に持ち込んだってわけさ」

　マーラーはブライトン近郊のイーストボーン出身で、ブライトンのファンとして知られる。現地16日、ブライトンはプレミアリーグでマンUを相手に３－１の快勝を収めた。オールド・トラフォードでのマンＵの無敗記録を20試合でストップさせ、日本代表ＭＦ三笘薫も出色のパフォーマンスを披露したゲームだ。
 

　そんなマーラーの熱いメッセージに呼応したのがブライトンの公式Ｘ（旧ツイッター）である。マーラーがＸ上でブライトンの選手の顔を自身に挿げ替えてヘディングしている画像を展開。これをリポストし、「昨夜の偉大な勝利を祝福するよ！　残りのゲームにも幸運を！」と記して、「ところで大会が終わったら我々に連絡をくれないか。君はセットプレーで必要な人材なんだ」とまさかの仰天オファーを提示したのだ。なんとも小粋なジョークである。

　ちなみにSNSを駆使するマーラーはTikTokでもユニークな画像をアップロード。こちらはクリスティアーノ・ロナウド（アル・ナスル）がユベントス時代に超高打点から放ったヘディングゴールの動画を持ち出し、今度はそのロナウドの顔に自身の顔をはめ込んだ。「ゴールはゴールだ」と謎のメッセージを添えている。

　一躍ときのひととなって、かなり上機嫌のマーラー。英メディアに対しては「冗談じゃないよ！」とあくまで偶然のプレーではなかったと主張しているが、真相のほどやいかに…!?

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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