［国際親善試合］日本 ４－１ ドイツ／９月９日／フォルクスワーゲン・アレーナ

　あのドイツに４－１。カタール・ワールドカップでは２－１で勝っているとはいえ、今回の親善マッチはドイツのホーム。そこで前回対戦を上回るスコアで圧勝。強い。強いよ、森保ジャパン。

　内容も良かったよね。全体のラインを下げ過ぎずに、コンパクトな陣形を保つ。ポゼッションも危なげなく、ボールを落ち着かせることもできれば、カウンターも繰り出せる。

　センターバック２枚とダブルボランチが真ん中でどっしりと構えて、ピンチの芽を摘めば、組み立てもスムーズ。両サイドバックも良かった。菅原のスピードと、伊藤のサイドチェンジ。これは効いていたと思う。

　伊東と三笘の両サイドは相変わらず脅威を与えていた。その伊東や上田、終盤には浅野、田中がしっかりとチャンスを決め切る。勝つべくして勝った感じかな。

　海外組が多いことも関係しているのか、普段はヨーロッパでプレーしている選手がほとんどだから、相手がドイツだからといっても余裕があるよね。やり慣れているというか、“普通”に戦えている。むしろ今回の試合は互角以上の出来。正直に言えば、ちょっとビックリした。

　貫録たっぷりの森保ジャパンで、特に目を引いたのが、やっぱり遠藤と守田のダブルボランチかな。ボールを奪い切る能力はもちろん、パス捌きもテンポが良いし、中盤の攻防で優位に立てていた。
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　見事だなと思って見ていたのは、センターバックをフリーにさせるポジショニング。板倉や冨安に対して、ドイツのフォワードが思い切りプレッシングできないような絶妙な位置取り。

　ほらここで僕らフリーですよ、見てないとパスもらっちゃいますよ、という感じ。そうやって相手を引きつけて、迷いを生じさせて、板倉や冨安へのプレッシャーを軽減させる。

　下がりすぎず、前にも出すぎない。前に出すぎれば、今度は相手の中盤に捕まってしまう可能性もある。そうならないような中間ポジションの取り方が、遠藤と守田は抜群に上手かった。

　目立たないアクションかもしれないけど、おそらく、彼ら２人がいなかったら、また違った試合展開になっていたかもしれない。

　それでも、この２人が相手にケアされれば、今度はトップ下の鎌田の出番だ。ダブルボランチの状況を見て、そこでノッキングしそうだと見れば、スッと外に開いて、パスコースを作る。この鎌田の動きも本当に効果的だった。

　チームとして、ある程度の決め事はあるのだろうけど、それをしっかりと守ったうえで、個々がシチュエーションに応じて、臨機応変にプレーする。日本はまた一つ、レベルを上げた印象がある。それを証明してみせたドイツ戦だった。

【著者プロフィール】
岩本輝雄（いわもと・てるお）／1972年５月２日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ／平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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