長年、なでしこジャパンの中心選手として活躍した岩渕真奈が９月８日、現役引退会見を実施。女子サッカーの未来を語った。

　12年前の2011年。この引退会見にサプライズで駆けつけた澤穂希さんや、当時18歳だった岩渕らを擁した日本女子代表は、ワールドカップ初制覇を果たした。大快挙により、なでしこ人気に一気に火が付いたが、それも束の間。文化として定着することはなく、一過性のブームで終わった。

　岩渕は「女子サッカーの人気の波をものすごく感じていました」と振り返る。

「優勝してフォーカスされた後、本当に寂しくなったタイミングで、自分は色んな責任を背負えるようになってきて。プレッシャーがゼロだったわけではないけど、色んな人からの応援の気持ちや、プレッシャーを自分の力に変えてこられたと思います。女子サッカーが今後ももっともっと発展していきたいと思っているなかで、少しでも、岩渕真奈が女子サッカーをちょっと盛り上げてくれたよね、ぐらいな感じになれたら、嬉しいです」
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　言うまでもなく、人気向上のためにまず求められるのは結果だ。ただ、なでしこジャパンの元エースはそれに加えて「心にグッとくるもの」を重要視する。その例には、自身は直近のワールドカップ出場を逃したなか、同じく今夏に開催されたワールドカップで快進撃を続け、48年ぶりに自力で五輪出場権を掴んだバスケットボール日本代表を挙げた。

「バスケだったりじゃないですけど、何か心にグッとくるものが、今後女子サッカーを応援してもらうのに１つ重要なのかなと思っています。

　やっぱり2011年の優勝がものすごくフォーカスされて、本当に自分が選手時代、良い意味でも悪い意味でもプレッシャーになっていたので…。今後、日本を背負う女子サッカーの選手たちには、とにかくサッカーを仲間と全力で楽しんでもらいながら、じゃあ心にグッとくるって何なのかって言われたら分かんないし、もちろん結果がすべての世界です。だけど、結果以上に何かを感じ取ってもらえるスポーツになることが、大事なのかなと」

　30歳で現役生活に終止符を打った岩渕は、「これから女子サッカーをもっともっとポピュラーなスポーツにしていってもらうために、自分自身は全力で応援したい」と外からのサポートを誓う。内にいる後輩は先達の想いを受け、今度は揺るぎない文化を構築できるか。

取材・文●有園僚真（サッカーダイジェストWeb編集部）

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