［J１第24節］浦和１－０名古屋／８月18日／埼玉スタジアム２００２

　金曜日のナイターゲームで浦和と名古屋が対戦した一戦、勝てば暫定ながら首位に立つ名古屋だったが、11分に浦和のホセ・カンテにゴールを奪われると、反撃は実らずに０－１で敗れた。

　浦和からレンタル中のキャスパー・ユンカーが契約上、出場をできないゲームで、多くのチャンスを作ったが最後までゴールが遠かった形だ。

　13年ぶりのリーグ制覇を目指すうえでは痛い敗戦となったが、一方で今後を見据えれば収穫もあったと言えるだろう。そのひとつが今夏にJ2の藤枝から加入したMF久保藤次郎のデビューである。

　中学時代にはグランパスみよしFCに所属していた久保は、中京大から藤枝に加入し、2021、22年にJ3、今季、J2を経験。そしてこの浦和戦で24歳で嬉しいJ1デビューを果たした。

　78分、久保が投入されたのは３－４－２－１の右ウイングバック。ちょうど飲水タイム明けであり、ピッチ脇では後半頭から出場していた同じ夏の新戦力組である28歳の前田直輝に何やらアドバイスを受けている。

　前田はこのシーンを「今は寮に住んでいて彼とコミュニケーションを取ることが多い。僕が言うのはあれですが、可愛らしく、グランパスに来た初日も緊張して肩に力が入っていたので、『大丈夫、できるよ』という話はずっとしていて。（ピッチ脇では）俺ら同じ右サイドに入るからこういうところを狙っていこうという話をしました。彼は良かったと思います」と振り返る。
 

　その言葉に背中を押されたのか、久保はやや硬さも見えたが、果敢にドリブルで仕掛け、クロスも供給。３人目の動き出しで相手ペナルティエリア内へも走り込んだ。

　そして最大のチャンスを迎えたのが後半アディショナルタイムだ。右サイドの前田がゴール前中央の稲垣祥へ横パス。その間に久保は相手最終ライン上を横滑りするようにエリア内へ走り込むと、稲垣からの鋭い縦パスが届く。

　目の前にはGK西川周作とカバーに走ってきたDFが迫る。それでも久保は右足でシュートを放ったが、希望を乗せた一発は、ゴール右へと外れていった。

「最後のシュートを除けば、J1デビュー戦、浦和とのアウェー戦であったことを含めて、悪くなかったのかなと思います。でも優勝争いをしているチームにとって、最後のシュートは大きなポイントになったと思うので、本当に申し訳ないという気持ちがあります。悔しい思いをしたので、それを今後につなげられるかどうか」

　念願の名古屋デビューを飾った男が、浦和戦を経てチームにどんな新たな武器をもたらすか。今後に注目だ。

取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）

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