［J１第24節］浦和１－０名古屋／８月18日／埼玉スタジアム２００２

　後半アディショナルタイム、途中投入のMF久保藤次郎が迎えたビッグチャンスが枠を外れると、テクニカルエリア最前線に立っていた長谷川健太監督は後方に転がり落ちた。

　勝てば暫定首位に立てるチャンスであったが、浦和からレンタル中のユンカーが契約上、出場できず、エースFWを欠いたなかで、11分に失った１点がどうしても遠かった。それでも４度の決定機を含めてチャンスは作った。後半は浦和を押し込む展開を続けた。

「久々にズッコケてしまいました」

　最終盤のシーンを苦笑いを浮かべながら振り返る長谷川健太監督も前を向く。

「選手もだいぶ悔しがって、下を向く選手もいました。ただ、下を向く内容ではなかったと思います。こういう試合で勝ち切っていけるとチームとして乗ってくると思います。今日は負けてしまいましたが、残り10試合、こういうゲーム、内容を続けることが勝利に近づくことだと感じます」

　そして収穫も挙げた。

「今日新しく加入した選手を長い時間使えたので、これからしっかりとチームに溶け込んで、力を出してくれると思いますので、今日の試合を今後の残り10試合につなげていければと考えています。もちろん天皇杯もルヴァンカップも残っていますので、チーム全体で一丸となって残りのシーズンを闘っていきたいです」
 

　攻撃の軸であったマテウスがサウジアラビアに移籍した今夏、チームはFW前田直輝（オランダのユトレヒトからレンタルバック）、FW中島大嘉（札幌からレンタル）、MF森島司（広島から完全移籍）、MF久保藤次郎（藤枝から完全移籍）を新たに加えた。

　浦和戦で先発したのは森島のみだが、後半から前田、中島、久保が次々にピッチへ送り込まれた。

　それぞれのパフォーマンスを見る限り、周囲との連係向上は今後の大きなテーマだろう。

　シャドーに入った森島は周囲からなかなかパスが出てこないシーンがあり「もっと前に入っていかなくちゃいけない」と話し、同じくシャドーを務めた前田はドリブルの切れが戻ってきた印象だが、「少しずつテンポは上がってきているのかなとは思いますけど、まだまだです」と語る。

　CFを務めた中島も「気合いが入りすぎてボールの落下地点に上手く入れなかった部分があります。短い時間でもゴールを決めて試合を変えられる選手にならないといけない」と、３人は一様に悔しさを口にスタジアムを後にした。

　まずまずのJ1デビューとなった久保も、周囲により自らのプレースタイルを理解してもらう必要があるのだろう。

　もっとも各々の実力、ポテンシャルは確かである。13年ぶりのリーグ制覇には彼らがどれだけのプラスアルファをもたらすことができるか、そこが大きなポイントになるのは間違いない。

　チームとして彼らをどう生かし、彼ら自身もどうアップデートしていくか。神戸、横浜を逆転する勢いをもたらしてくれるのか、時間は限られているが、楽しみな部分である。　

取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）

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