女子サッカー界における“アメリカ最強時代”がついに終焉を迎えた。

　現地８月６日、オーストラリア＆ニュージーランド共催の女子ワールドカップ、決勝トーナメント１回戦でアメリカはスウェーデンと対戦。０－０のまま延長戦でも勝負がつかず、激闘はPK戦になだれ込んだ。ここでも両者譲らずサドンデスに突入すると、７人目でようやく決着。アメリカは４－５で敗れ去り、ワールドカップ３連覇の野望がついえた。

　過去８回のワールドカップで４度の優勝を誇るアメリカ。今回はベスト16での早期敗退となったが、「ベスト４以上」を逃がすのは史上初だ。７度のオリンピックでも４度の優勝を飾っているが、ベスト８に届かなかったことはない。スウェーデン戦の敗北は米サッカー界に相応のショックを与えている。

　米ネットワーク『FOX』は「（スウェーデン戦は）今大会でベストなパフォーマンスだったが、それでも点を取れずにスウェーデンの後塵を拝した。みずから招いた結末と言わざるを得ない」と断じた。そのうえで「そもそもグループステージで２勝できなかったのも初めてで、チームは機能不全に陥っていた。大会開幕までチームは９連勝を飾っていたが、蓋を開けてみれば４試合でわずか４得点。ポルトガルとスウェーデンからは１ゴールも奪えなかった。問題は深刻である」と続けた。

　同メディアはチームの「年齢バランス」にも言及。「ラピノーは引退するが、30代でピークを過ぎたモーガン、ダン、アーツ、ナイアーと黄金期を支えてきたベテランはどうするのか。来年のパリ（五輪）まで引っ張るのか。ロッドマンやスミス、ギルマら若手の成長は頼もしいが、ベテランと若手をつなぐ中間層にタレントがまるで育っていない。この穴はそう容易くは埋まらないだろう」と指摘する。

　さらに、「これまで女子サッカーの育成で大きな役割を担ってきたのはNCAA（全米大学体育協会）だが、もはや十分なシステムではない」と踏み込み、「欧州のリヨンやバルセロナでは10代前半からの選手育成に本腰を入れている。一方でNSWL（米女子リーグ）のクラブにはユース専用のアカデミーさえない。注力すべきはまさにこのポイントで、減少している国際的な競争力を持つエリートを一刻も早く育てなければならない」と強調した。
 

　そして「アメリカ代表が支配する時代が終わったのだ。今大会を通して、世界がいかに急激なスピードでアメリカを追い上げてきたかが分かっただろう」と記し、「軌道修正を間違わなければまたすぐにトップに返り咲ける。（現監督の）アンドノフスキは今年いっぱいの契約を延長できないだろう。新しい監督の下で新たなスタートを切るべきだ」と論じた。

　よもやの早期敗退に終わったアメリカ女子代表。３大会ぶりの金メダルを狙う来年のパリ五輪では、はたしてどんな陣容とスタイルで臨んでくるのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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