2022年シーズンのＫリーグ１部得点王で、カタール・ワールドカップで２得点を挙げて一躍ブレイクしたストライカーが、ついに欧州挑戦をスタートさせるようだ。正統派のイケメンとして女性ファンからも圧倒的な支持を得る韓国代表FW、チョ・ギュソンである。

　25歳の点取り屋が新天地に選んだのは、デンマーク１部リーグの強豪ミッティランだ。所属する全北現代は目下最優先で交渉を進めており、完全移籍の成立まで秒読み段階だと言われる。

　ワールドカップ直後、１月の移籍期間にはセルティック（スコットランド）やマインツ（ドイツ）からラブコールを送られ、今夏もワトフォードやレスター・シティ、ブラックバーンなどイングランド方面からの関心も伝えられた。そのなかで、あえて欧州でも中堅以下のリーグを選んだのはなぜか。多くの韓国メディアが「残念な選択だ」「もったいない」とその決断に懐疑的な目を向けているが、全国スポーツ紙『スポーツソウル日本語版』は深みのある考察を展開している。

　同紙は舞台裏で重要な役割を担っているレジェンドの存在を強調する。元韓国代表の国民的英雄、パク・チソン氏だ。現在42歳で、全北現代のチーム強化を司るディレクターの要職に就いている。チョ・ギュソンの欧州挑戦に関しては常にシビアな視点で向き合い、全権を握ってきたという。

　チョ・ギュソンのエージェント社である「インスポコリア」のユン・ギヨン代表は７月６日、『東亜日報』紙の取材に応じ、「ミッティランから１か月半前に（獲得の）オファーがあった。ただ、その時は多くのクラブから連絡が来ており、より良いチームがあると確信したため断った」とコメント。そして、次のように詳細を明かしている。

「その後、全北現代がディレクターのパク・チソンを中心に、現地関係者を通じてミッティランと接触した。現地メディアは移籍金の水準に言及していたが、彼らは全北現代に最も良い条件を提示したはずだ。チョ・ギュソンもパク・チソンとの対話を経て、デンマーク行きに前向きな考えを持ったものと見られる。私にとっては、選手の意思が一番重要だ。決心のほどを聞き、現在は細部の条件を巡って交渉の仕上げを行なっている」

　パク・チソン氏はワトフォードやブラックバーンとも交渉の場を持ったが、移籍金など条件面で折り合わなかった。ミッティランの提示額は英メディアの報道で260万ポンド（約４億7000万円）とも言われる。ワールドカップ直後の評価額よりは下がっているが、現時点では最良のオファーと見なされているようだ。

　そのうえで、『スポーツコリア日本語版』は次のように解説している。

「ディレクターのパク・チソンは、今回の移籍でクラブと選手が“Win-Win”になると見ている。彼は現役時代、中規模リーグであるオランダのPSVアイントホーフェンから欧州でのキャリアをスタートさせ、最終的にはマンチェスター・ユナイテッドにまでたどり着いた。このような経歴を持つレジェンドが太鼓判を押しただけに、説得力は十分だったはずだ。

　チョ・ギュソンは普段からパク・チソンディレクターの助言によく従うという。チョ・ギュソンは昨冬に欧州進出への意欲を示したが、欧州オフシーズンである今夏に再調査することを勧めたのがパク・チソンディレクターだった。ワールドカップでのブレイクによる一時的な勢いよりも、レジェンドの“金言”を重視したのだ」
 

　さらに同メディアは、ミッティランの共同オーナーが英国人企業家のマシュー・ベンハム氏であることを紹介。「彼は最近、Ｋリーグ２部の城南FCからキム・ジスを獲得したプレミアリーグのクラブ、ブレントフォードのオーナーでもある。パク・チソンディレクターは、このようなミッティランの背景も見た上で、チョ・ギュソンに移籍を勧めたと思われる」と付け加えた。

　はたしてデンマークの地から、怒涛の勢いでスターダムを駆け上がっていくのか。ちなみに2022―23シーズンのミッティランは国内リーグで７位。新シーズンは欧州カップ戦にもエントリーしており、UEFAカンファレンスリーグの予選２回戦から参戦する予定だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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