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【高校選手権】前橋育英 3-2 大津|あらゆる要素が満載された価値の高いスペクタクルな一戦!

カテゴリ:高校・ユース・その他

平野貴也

2016年01月02日

後半アディショナルタイム、前橋育英が“3度目の正直”で勝利。

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後半アディショナルタイム、全ゴールに絡んだ横澤(写真上)のクロスを馬場(写真下)が押し込み、前橋育英が劇的なかたちで好試合を制した。 写真:徳原隆元

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 観衆がどよめき続けた80分だった。
 
 高校選手権2回戦、組み合わせが決まった時点で最も注目を集めていた、前回準優勝の前橋育英(群馬)とプロ内定選手2名を擁する大津(熊本)の一戦は、壮絶な打ち合いとなった。
 
 試合会場のフクダ電子アリーナは、第1試合に地元の市立船橋(千葉)が出場したこともあり、延べ1万3107人が来場。そんななかで行なわれた第2試合では、「ああっ!」、「おーっ!」、「えっ!?」と、ありとあらゆる感嘆の声がスタジアムに響き続けた。
 
 試合は、大津を徹底的に研究したという前橋育英が優位に立つ展開で始まった。
 
 前橋育英の山田耕介監督は、「大津がやられた試合のビデオばかりを選手に見せた。高校総体で関東第一(東京)に敗れた試合が良かったね。相手が完敗だったから。強いと言われているけど、そんなことないだろうと選手に言い続けたんだ」と話し、ニヤリと笑った。
 
 ビデオの分析から、大津のサイドの守備に弱点を発見。徹底的なサイド攻撃で、前橋育英がリズムを掴んだ。
 
 そして前半18分、右サイドからカットインしたFW横澤航平が放ったミドルシュートのこぼれ球を、MF佐藤誠司が押し込んで先制。3分後にはPKで追いつかれたが、後半の立ち上がりにピッチ中央でボールを奪うと、中央突破でカウンター攻撃を仕掛け、がら空きになった右サイドでパスを受けた佐藤がシュートを決めて再び勝ち越した。
 
 しかし、この試合はすんなりとは終わらず、予想外の出来事の連続となった。
 
 後半15分、大津の吉武莉央が放った低いミドルシュートを前橋育英のGK山岸健太がまさかのトンネル。再び同点となった試合は、互いにダイナミックなプレーを連発する派手な打ち合いとなった。
 
 前橋育英は前線で横澤のドリブルを活かしつつ、サイドから大胆に突破。対する大津は、ガンバ大阪に入団が内定しているFW一美和成が相手DFの圧力をかわしながら、ロングボールを収めて攻撃の起点となった。
 
 ゴール前からゴール前へ、残り時間が少なくなるなかで互いが攻め合い、GKのキックが相手に渡るなど驚くようなミスもあったが、ファインプレーも連続するというスペクタクルな試合は、やはり予想外の結末で幕を閉じた。
 
 後半の終了間際、両チームはともにPK戦を見越してGKを交代。しかし、その直後に決勝点が生まれた。アディショナルタイム、前橋育英はカウンターから左サイドを破ると、横澤のクロスを途中出場の2年生FW馬場拓哉が押し込んでゴール。勝ち越すこと“3度目の正直”で試合を制した。
 
 3ゴールに絡む活躍を見せた前橋育英の横澤は、「見ている人は面白かったと思います。やっている方は必死でしたけど」と笑顔を見せた。
 
 2回戦で実現するには惜しい試合だったが、見た人にとっては忘れられないゲームとなった。敗れた大津の平岡和徳監督は悔しさを噛み締めながらも、この一戦の価値への理解を訴えた。
 
「決勝戦だけが歴史に残るゲームではない。早く当たったところでも印象に残るようなゲームを今日はやろうと言っていたし、最後まで選手は諦めずにやってくれた」
 
「(選手権は)才能のある選手たちが、この高校サッカーを巣立っていくというひとつのステージ。決勝戦まで残るに越したことはないけど、こういうゲームを繰り返すことで、これからも高校サッカーが注目されるのではないかなと思う」
 
 勝者にとっても、敗者にとっても課題は散見された。しかし、観衆の満足度が高かったことは間違いない。どよめきの絶えない80分こそ、その証拠だった。
 
取材・文:平野貴也(フリーライター)
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