「完全にブロックされた。分析はしていたんですが……個人的なミスです」(槙野)
53分のCK――。タイトルを手繰り寄せた最大のポイントは、この時のワンプレーと言っても過言ではない。
1-1で迎えた53分、G大阪は右CKを獲得。遠藤保仁がボールをセットすると、中央では「パトリック×槙野智章」、「今野泰幸×阿部勇樹」がマッチアップしていた。遠藤がゆっくりキックモーションに入ると、両軍の選手たちが息を合わせたかのように一斉に動き出す。
“おしくらまんじゅう”状態のなか、槙野と競り合っていたパトリックがわずかに距離を取ると、その手前で阿部と競り合っていた今野が槙野の走るコースを潰してブロック。上手く回り込んだパトリックは、ペナルティマーク付近で完全にフリーとなり、余裕を持って右足を振り抜いた。
槙野の動きを制限した今野のプレーは、バスケットボールで言うところのスクリーンだ。“スクリーナー”(スクリーンをセットした選手)と化した今野のワンプレーでパトリックはフリーとなり、結果的にこの一撃がG大阪を天皇杯連覇へと導いた。
ブロックされた槙野は「しっかり防がないといけなかった。完全にブロックされましたね。分析はしていたんですが……個人的なミスです」と振り返る。
一方、決勝点を決められたGKの西川周作は、「負けた原因は、自分たちはセットプレーで点が取れなくて、ガンバは取れた。その差が大きかった」と語りつつ、2失点目の場面についてはこう続けた。
「上手くブロックされて、パトリックのマークを外された。スカウティングしてミーティングで話していたし、あの動き(のイメージ)は頭にあった。でも、セットプレーは1対1のところだし、一人ひとりが責任を持ってやるしかない」