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鹿島DF関川郁万の可能性は天井知らず。「サッカーが今、楽しくて仕方がない」。ベクトルを自分に向け、モダンなCBへの道をひた走る

カテゴリ:Jリーグ

小室功

2023年06月12日

開口一番に出てきたのは、植田への信頼

関川の勇猛果敢なプレーが決勝点への布石となった。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1第17節]鹿島1-0湘南/6月11日/県立カシマサッカースタジアム

 フェアで、アグレッシブな守備が、その後の決勝ゴールをお膳立てした。

 6月11日、Jリーグの折り返しとなった第17節。立ち上がりから湘南にペースを握られていた鹿島は、40分過ぎまでシュートを1本も打てずにいた。だが、勇猛果敢なCB関川郁万のワンプレーが試合の潮目を変えた。

 湘南のエース、町野修斗にボールが入った瞬間、背後から一気に間合いを詰めた関川はノーファウルでボールを奪うと、その勢いのままにドリブルを開始。慌てて止めにきた相手選手に倒され、ゴールまで左約20メートルの地点でFKをゲットした。これがキックの名手、樋口雄太のゴラッソの布石となった。

「(出し手の体勢から)パスコースが予測できたし、相手(町野)が後ろ向きだったので、思いきって前に行きました。最悪、あそこでファウルになったとしても相手陣内。それほど危険ではないですからね。ボールが足から離れた瞬間、取れるかなと。日本代表の経験があるフォワードだからこそ、負けられないと思いながらやっていました」(関川)

 ボール奪取のシーンを振り返ってもらった時、開口一番に出てきたのは、実はディフェンスラインの真ん中でコンビを組む、経験豊富な植田直通への信頼だった。

「植田君がいてくれるので、すごく安心感があるし、自信を持って、迷わずに、前に出ていける。だからこそ、ああいう場面につながったと思います。後ろでドンと構えてくれる人の存在は、僕にとって本当にでかいです」

 高校サッカーの強豪、流通経済大付柏高(千葉)から鹿島入りしてプロ5年目。CBとして群を抜く潜在能力の高さゆえか、ふとした瞬間に集中力を切らしてしまうことが少なくなかった。そこがひとつの課題と言われてきた。

 だが、今シーズンの充実ぶりには目を見張るものがある。チームを率いる岩政大樹監督も、こう言って称賛を惜しまない。
 
「開幕当初は試合に出ていましたが、その後、なかなか絡めない時期がありました。そういう状況にあっても日々の練習に全力で取り組む姿勢が変わることなく、素晴らしかったです」

 前述した湘南戦のあとの記者会見では、次のように語っていた。

「郁万は顔の系統的には(現役時代にCBだった)僕らのあとを継ぐようなタイプですけど(笑)、プレー自体は現代サッカーが求めるセンターバックというか、遠くまでグラウンダーのボールを通せますし、前に出てボールを奪えますし、スピードもある。ゴール前での冷静さもついてきて、攻守ともにチームに貢献できるセンターバックです。将来がすごく楽しみになってきましたね」

 試合に絡めない時期があったからこそ、今の自分があると、関川は強調する。

「(監督の)大樹さんが『試合に出られない選手にとって練習が公式戦のようなものだ』と言っていましたが、その通りだと感じました。ベクトルを自分に向けて、日々の練習からアピールしていく。そういう姿勢を鹿島の先輩からも学びましたし、自分が今、できることを100パーセント出し切って成長しないといけない。その一心で取り組んでいました」

 試合に出続けることで成長が促され、さらに成長することで、チームにとって代えのきかない存在へと上り詰めていく。関川は、その好循環のなかにいる。

「サッカーが今、楽しくて仕方がない」

 言葉の端々にあふれ出る充実感は隠せない。群を抜く潜在能力の高さゆえに、まだまだ引き出されていないものがたくさんあるだろう。日本を代表するモダンなCBへの道をひた走る関川の可能性はまさに天井知らずだ。

取材・文●小室功(オフィス・プリマベーラ)

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