[ルヴァン杯・第２節] 川崎０－０湘南／３月26日／等々力陸上競技場

　ルヴァンカップのグループステージ、初戦で清水に敗れていただけに、勝利が欲しかった川崎だが、ホームでの湘南との一戦はドロー。内容を含め多くの課題が残るゲームとなった。

　もっともポジティブな要素を探すとすれば、今季新加入のGK上福元直人のパフォーマンスを挙げられるのではないか。

　リーグ戦では引き続きチョン・ソンリョンが正GKを務めるなか、上福元はルヴァンカップでは２試合連続でスタメン出場。セービング能力に優れたチョン・ソンリョンと比べ、上福元がアピールしているのが、機動力と足もとの技術だ。

　湘南戦でもペナルティエリアを飛び出し、最終ラインの裏を狙われたボールをヘッドでクリアしたかと思えば、左ウイングのマルシーニョへ高精度フィードを供給。まだ周囲との連係を深める必要はありそうだが、後方でのビルドアップが思うように進まない現在のチーム状況を考えれば、上福元のプレーは新たなオプションになり得るとも言えるだろう。

　もっともチョン・ソンリョンも健在なだけに、鬼木達監督にとってハイレベルなGKを揃えられている現状は、嬉しい悩みとも言えるのだろう。
 

　実際に試合後に指揮官の想いを訊くと、こう答が返ってくる。

「カミ（上福元）は攻撃的に戦ううえで、いろんなオプションを持っているので、彼を経由して“プラスワン”という形を作れますし、今日のように相手がきたら飛ばすこともできます。ビルドアップの安定感は非常に素晴らしいものがあると思っています。

　あとはソンリョンとタイプが違います。キーパーである以上、ゴールを守るところと攻めるところをよりできればと。ただ、お互いが切磋琢磨しながら、ソンリョンはカミを見てビルドアップが成長していますし、カミもソンリョンのシュートストップを見て成長しています。お互いが向上し合う関係性で、あとはゲームによって自分が判断したいです」

　38歳のチョン・ソンリョンと、33歳の上福元。安藤駿介（32歳）、早坂勇希（23歳）も含め、川崎のGK争いは楽しみだ。

取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）

【厳選ショット】せめぎ合う雨中の激闘。ゴールは遠く0－0のドローに終わる｜ルヴァンGS第２節 川崎０－０湘南