キリンチャレンジカップ2023が３月24日に国立競技場で行なわれ、日本は南米の強豪ウルグアイと１－１で引き分けた。

　ウルグアイが38分にMFフェデリコ・バルベルデ（レアル・マドリー）の先制点でリードしたが、日本は75分に西村拓真が同点とした。昨年のカタール・ワールドカップに出場した多くの国・地域にとっては、再始動の３月シリーズ。アメリカ、カナダ、メキシコの３か国で共同開催される３年後の大会に向けて、世界が動き出した。

　カタール大会のグループステージで１勝１分１敗、韓国と勝点、得失点差で並びながらも総得点の差で敗退を余儀なくされたウルグアイにとっては、新たなサイクルの始まり。４位の好成績で復活を遂げた2010年南アフリカ大会、その翌年のコパアメリカにおける南米制覇以来、チームの屋台骨だったルイス・スアレス、エディンソン・カバーニ、ディエゴ・ゴディンらのベテランが外れ、今年１～２月のU-20南米選手権でウルグアイを２位に導き、U-20ワールドカップ（５～６月にインドネシアで開催）出場権を獲得したマルセロ・ブロリが監督代行として指揮を執った。

「新生」とはいえ、存在感を放ったのはカタール大会経験者。貫禄十分だったのが24歳でキャプテンの重責を任されたバルベルデだ。高く浮いたボールを抑えの効いた脚の振りで叩いて右ポスト直撃のシュートを放ち、そのはね返りを頭で押し込んで先制。的確なポジショニングでボールを受けては正確なパスでスムーズな攻撃の流れをつくる一方、積極的なプレスで守備にも献身。「良い戦い方を組み立てることができた」（ブロリ監督代行）のも、バルベルデの存在が大きい。
 

　今季のイングランド・プレミアリーグは２試合の出場にとどまるMFファクンド・ペリストリ（マンチェスター・ユナイテッド）も、右サイドで技巧を発揮。密集をドリブルで巧みにすり抜け、バルベルデにつなぐプレーが効果的だった。

　ディフェンスラインではセンターバックのDFセバスティアン・コアテス（スポルティング）が冷静に守備を引き締めた。2014年ブラジル大会からワールドカップ３大会連続出場の32歳は、ゴディンの後を継ぐ守備の重鎮としてますます重みが増しそうだ。これに、遠征メンバー候補に入りながらも不参加となったFWダルウィン・ヌニェス（リバプール）、MFジョルジアン・デ・アラスカエタ（フラメンゴ）、DFロナルド・アラウホ（バルセロナ）らが加われば、さらに強力な布陣となるはずだ。

「全体の練習時間が少ない中では良いパフォーマンスだった」と試合後に語ったブロリ監督代行がチームを率いるのは、３月28日にソウルで行なわれる韓国戦まで。次の国際試合が開催される６月には、監督も正式に決まっているだろう。そして９月には早くもワールドカップの南米予選がスタートする。ウルグアイは７日のチリ戦、12日のエクアドル戦で、５大会連続15回目の出場を目ざす戦いの火ぶたを切る。

取材・文●石川 聡

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