開幕から好調のベルマーレと、前節に初勝利を挙げたサンガとの一戦。結果は、サンガが２－０で勝って、ベルマーレは今季初黒星、サンガは連勝となった。

　お互いに運動量がストロングポイントだから、バチバチとやり合っていて、最後まで見応えのある、面白いゲームだった。サンガのほうが少し、激しさで上回っていた印象で、それがそのまま結果にもつながったのかな。

　この日のサンガは、いたってシンプルだった。ピッチの真ん中らへんでタイトにプレスをかけて、特に前半はボールを奪えば、前線のパトリックを目がけてロングフィード。フィジカルの強いパトリックに競らせて、コーナーを取ったり、セカンドボールを狙って、さらに畳みかけたり。

　徹底していたよね。マイボールにしたらすかさず前に蹴り出す。手数をかけないというか、ある意味、中盤を省略するサッカー。無駄なつなぎはしない。プレッシングが武器のベルマーレからしたら、やりにくかったんじゃないかな。

　そうやって自分たちのペースに持ち込んだサンガが、後半に２得点。１点目は右サイドを突破した白井のクロスに、ニアで木下が合わせる形。白井は小柄だけど馬力がある。攻守に献身的で、良い選手だと思う。
 

　木下をちゃんと見たのは今回が初めてで、プレーが日本人っぽくないというか、エレガントな感じがする。海外でのプレー経験が長いせいかもしれないけど、ちょっと他とは違う独特の雰囲気がいいね。

　２点目は鮮烈なカウンターで奪った。これはもう、味方からのパスを受けて左サイドをぶっちぎったパトリックが見事だった。寄せてくる相手をものともせずに突き進む。あの推進力は凄かった。

　後半の途中からは５バック気味にして、守備を固める。戦い方がはっきりしているサンガは、“勝ち方”をよく理解して、それをチーム全体で迷いなく遂行できているように見えた。

　こういうチームは強いと思うよ。自分たちの勝ちパターンに持ち込めれば、そう簡単にはやられない。今は連勝して、勢いもある。チームを束ねるのは、経験豊富な曺さん。今年のサンガは、ちょっと侮れない存在になりそうだね。

【著者プロフィール】
岩本輝雄（いわもと・てるお）／1972年５月２日、50歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ／平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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