もはや日替わりで“候補者”が急浮上する、そんな異常事態となっている。韓国代表の新監督を巡る報道ラッシュだ。

　今回は、初めてドイツからニュースが飛び込んできた。同国のサッカー専門誌『KICKER』が伝えたのは、元ドイツ代表のエースストライカーであるユルゲン・クリンスマン氏の近況だ。

　同誌は「どうやらクリンスマンとKFA（大韓サッカー協会）がここ数日で交渉の場を持ったようだ。空白となっている韓国代表監督のポストに関する話し合いである」と記し、現在KFAにおける代表チーム強化の責任者が、同じくドイツ出身のミヒャエル・ミュラー氏である点も強調した。

　昨年のカタール・ワールドカップでは、FIFA（国際サッカー連盟）のTSG（テクニカルスタディーグループ）の一員として現地入りしたクリンスマン氏。アーセン・ベンゲル氏やアルベルト・ザッケローニ氏らと分析業務を共にしたが、そのメンバーに加わっていたのが元韓国代表DFのチャ・ドゥリ氏だ。『KICKER』誌は「現在FCソウルのユース部門で指導に当たっているチャ・ドゥリがKFAとクリンスマンの仲介を担った。彼はドイツで長年プレーした経歴を持つ」と報じてている。

　しかしながら、就任決定までには「より深い話し合いが必要だろう」と見ており、まだまだ詰めの状況には至っていないようだ。

　水曜日の深夜に飛び込んできた一報に、もちろん韓国メディアは一斉に反応した。だが一方で情報の出元が海外メディアばかりで、浮かんでは消える候補者たちに振り舞わされている現状を受けて、放送局『SBS』からは「本命はいったい誰なのか！」と悲痛な声も聞こえてくる。

　現役時代のクリンスマン氏はバイエルンやトッテナムなどで活躍し、ドイツ代表としてもイタリア・ワールドカップを制するなど82試合で40得点をマークしたレジェンド。引退後は指導者に転身し、ドイツ代表やアメリカ代表などを率いて辣腕を振るった。韓国メディア『Edaily』は「とはいえ、指導者として最近はパッとしない」と切り出し、「2020年２月にはヘルタ・ベルリンの監督の座をわずか２か月半で追われた。それから監督業は再開させていない」と懐疑的な目を向ける。
 

　この１か月で「候補者リスト」に挙がった名を整理してみよう。

　元バレンシア監督のホセ・ボルダラス氏から始まり、前ブラジル代表監督のチッチ氏、元ヴィッセル神戸監督のトルステン・フィンク氏、さらには元日本代表監督のヴァイッド・ハリルホジッチ氏がKFAから直電を受けた事実を明かした。先週にはスペイン代表でコーチを務めた前グラナダ監督、ロベルト・モレーノ氏が有力候補としてクローズアップされ、２日前にはかつてリバプールやニューカッスルで指揮を執ったラファエル・ベニテス氏がKFAからのオファーを告白した。クリンスマン氏は７人目である。

　なかでも有力視されるのは、エクアドル代表監督との二択とされるモレーノ氏か。スペイン紙『AS』の取材に対して、「もし就任すれば、ソン・フンミンやイ・ガンイン、キム・ミンジェといった優秀選手たちを指導できる。とても光栄なことだ」と意欲的なコメントも残している。

　韓国代表は３月24日にコロンビアと、同28日にはウルグアイとの親善試合が予定されている。KFAとミュラー氏はそれまでになんとか新監督の目星をつけたいところだが、リクリーティングが上手くいっているのかどうかは判然としない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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