2023年１月８日、FC東京の始動日での囲み会見でアルベル監督にこう訊いてみた。「昨季の松木のパフォーマンスをどう評価しているか」と。ルーキーイヤーから主力の座を射止め、2022年シーズンのJ1リーグに31試合出場して２得点とプロ１年目から堂々たるプレーを披露したが、一方で「ゴールが少ない」との意見もあった。だから、松木を直接指導したアルベル監督の見解を知りたく、そんな質問をぶつけてみたのだ。すると、このスペイン人指揮官は真摯なスタンスで次のように答えてくれた。

「（松木にとって）昨季は大きく分けてふたつのフェーズがありました。まず前半戦、彼は大胆さ、野心をピッチの上で示してくれましたが、戦術的にも技術的にもミスが多かった。その反省を生かしてか、後半戦はより成熟したプレーを見せてくれて、成長したことを示してくれました。ミスが徐々に減ってきましたよね。

もちろん完璧ではありません。シーズン終盤のアウェーでの名古屋戦ではつまらないミスから失点して敗戦に繋がってしまいました。まあ、まだ19歳ですから、そういうミスがあるのは仕方ありません。まだ若いので、時間が必要です。彼は我々にとって重要な戦力で、日本にとってもそう言えるでしょう」
 

　昨季のFC東京でルーキー３人のうち、トップチームでレギュラーを張ったのは松木ひとり。同じプロ１年目の安田と梶浦はリーグ戦でほとんど出番がなく、このオフ、ともにレンタルで新天地を求めている。

　では、松木と他のルーキー（安田と梶浦）にどんな違いがあったのか。アルベル監督はこう語る。

「（松木）玖生の最大の長所がメンタル的な強さ。ワールドカップのような大会で活躍するのもメンタル的に強い選手です。そのメンタルこそ、彼と他の選手たちとの差です」

　強靭なメンタルを備えた松木が今季はどんなプレーを見せてくれるのか。昨季以上のインパクトを期待したい。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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