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「ボールが僕のことを大好き」。地区予選から全試合得点の小田村にはしかし、意外な過去も【選手権】

カテゴリ:高校・ユース・その他

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2022年12月31日

サッカーから一度離れ「感謝の気持ち」を学んだ

小田村の連続ゴールはどこまで続くのか。非常に楽しみだ。写真:早草紀子

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[高校選手権2回戦] 履正社6−0盛岡商/12月31日/味の素フィールド西が丘

 今予選からの連続ゴールは途切れてしまうのか。そんな不安が過ぎるなか、終了間際の77分、履正社の8番、小田村優希が古田和之介のチャンスメイクからチームの5点目を奪ったのだ。

 試合途中、平野直樹監督が疲れを考慮して交代させようとしたが、それに対して小田村は「むくれた顔をした(笑)」(平野監督)という。それはそうだろう。何しろ、小田村は地区予選の6回戦(履正社はここから登場)から高校選手権の1回戦まで5試合続けてゴールを奪っているのだ。彼の野望は「優勝までゴールを奪い続ける」。だからこそ、2回戦でそのゴールをストップさせるわけにはいかなかったのである。

 そして、とうとう盛岡商戦で6試合連続ゴール。

「チームの勝利が一番なんですけど、点差もあったので、自分も1点行きたいなと。平野監督も協力してくれて(交代させなかった)、古田もボールを運んでくれて、本当にありがとうございます、という感じでした(笑)。今日は本当に頭が上がらないです」

 ゴールへの感覚は研ぎ澄まされていて、一種のゾーンに入っている状態だ。「ここにいればボールが入ってくる。ボールが僕のことを大好きなので」という自信は、ここまで積み上げてきた得点で築いたものである。ただ、ひとりの力でゴールを奪っているわけではない。チームあっての自分だということも十分に理解している。
 

実は、小田村は21年の夏にマネージャー業務をやっている。ピッチの内外で自己中心的なところがあり、それが原因で平野監督から「人の気持ちを分かるようになれ」とその業務を託された。サッカーから一度離れ、人の部分を磨きなおせ、と言うメッセージだったのだろう。ビブスを洗濯したり、グラウンドの周りの草を刈ったりするなど、1か月間のマネージャー業を経て学んだのは「色んなものを支えてくれる皆への感謝の気持ちだった」。

「コーチが毎日の練習メニューを考えてくれるのも大へんで、簡単な作業じゃないことにも気づいて。感謝の気持ちを持てるようになりました。そうして、チームのために、監督のためにという考えになりました」

 チームのメンバーが繋いでくれたボールを自身が最終的にゴールへと届ける。そのプレーは、小田村にとって皆への最高の感謝の気持ちを示すものかもしれない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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