[高校選手権２回戦] 履正社６−０盛岡商／12月31日／味の素フィールド西が丘

　前半は盛岡商の粘り強い守備に苦しみながらも、後半に圧巻のゴールショー。持ち前の攻撃力を存分に見せつけた履正社で、大きな存在感を示したひとりが左サイドバックの西坂斗和だ。

　J２リーグの徳島に加入内定している西坂は、その実力を示すかのように左サイドで躍動。的確なボールの出し入れでチームにリズムをもたらすと、後半開始直後の２分には名願斗哉のチャンスメイクからヘッドで先制点を奪う。さらにその６分後にはこれまた名願のアシストから今度は左足で強烈な一撃を突き刺したのだ。

　その後も１対１の競り合いで強さを見せつけ、敵に囲まれても冷静にいなして味方にボールをつなげる。シュートを打てる場面でそうせず、平野直樹監督から「あそこは打て」と指示されたりもしたが、致命的なミスはなく完封勝利に大きく貢献した。
 

　試合後、西坂自身も「自分の武器は攻撃力なので、あそこでゴールを取れたことは良かったと思います」と凛々しい表情で語ってくれた。ハイライトはやはり、左足のアウトサイドで蹴り込んだ“えげつない２点目”だろう。これぞプロ内定と証明しているかのようなゴールだった。

　ちなみに、この会心の一撃については「名願と古田（和之介）がゴール前で潰れてくれて、自分はフリーだったので枠に入れることだけを考えて左足を振り抜きました」「今日（公式戦で）初めてあんなゴールを決めることができて良かったです（笑）」とも話している。

　決定力以外にも、視野の広さ、競り合いの強さと超高校生級のプレーを見せつけた西坂には卒業後に「プロに行く」という自負がある。「身体は大きくないけど、体幹などを鍛えて負けない身体作りをしている」ところからもその意識は窺えるだろう。

「あんなのがプロかと言われるのが嫌なので、『これがプロ』と周りを唸らせるぐらいの活躍をしたいです」

　こうした思いがあるからこそ、本大会にかける意気込みも強い。

「この仲間がいたから僕は成長できたと思っているので、みんなで日本一になって先生を胴上げして、プロの世界でも活躍したいです」

　全国制覇を置き土産にプロの世界に旅立てるか。西坂のパフォーマンスが履正社を頂点に導く鍵のひとつになるはずだ。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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